人気大学の事例に学ぶオウンドメディアの本質とは

人気大学のオウンドメディア事例から本質を学ぶ

オウンドメディアの作成改良には、他社の事例でケーススタディをするのが早くて効果的だと思います。

ところで、最近オウンドメディアを持つ大学が増えているのはご存知ですか?

企業がオウンドメディアを戦略として行う中、大学も工夫を凝らしたWebコンテンツを作っているんです。

企業のオウンドメディアの成功事例は多くのサイトで取り上げられていまるので見られていると思うのですが、大学のオウンドメディアまで研究されている方は少ないのではないでしょうか。

オウンドメディアの本質は営利法人でも学校法人でも変わりません。
コンバージョンの増大やブランド力の強化など、企業によってオウンドメディア運用の目的は複数考えられますが、今回ご紹介するオウンドメディアはコンテンツとして興味深いものが多いですので、ぜひチェックしてみてください!

ちなみに今回ご紹介する大学は、明治大学、近畿大学、早稲田大学、慶応義塾大学、津田塾大学、京都大学、武蔵大学です。

オウンドメディアの定義

まず、オウンドメディアを定義してみたいと思います。それこそ、さまざまなメディアで多少異なる説明がされていますが、元々の英熟語「Owned Media」自体は、

「(自社で)所有している媒体(いわゆるメディア)」と訳せます。

ゆえに広義には、ホームページやブログなどのデジタルコンテンツだけでなく、広報誌などアナログのメディアも全て含めることができるでしょう。

ところが、Webまわりの現場でオウンドメディアというと、ホームページ等とプラスアルファで運営しているようなブログWebマガジンなどのデジタルコンテンツを指すそうです。

こちらは比較的狭義のオウンドメディアと言えるかもしれませんね。

当ブログでは、この狭義のオウンドメディアだけでなく、
「ホームページ内にあるのですが、比較的独立した情報発信メディアです」というものも含めて紹介していきたいと思います。

具体的な事例紹介の前に、3分でオウンドメディアの特徴を改めて見ていきましょう。

オウンドメディアの特徴

それではオウンドメディアの特徴について、対照的なペイドメディアアーンドメディアとの比較によって簡単にさらっていきます。

※念のため
ペイドメディアとは、文字通り対価としてお金を払って出稿する広告メディアのことです。
一方、アーンドメディアはユーザーが情報発信に大きな影響力を持つソーシャルメディアのことです。
また、ペイドメディア、アーンドメディア、オウンドメディアの三つでトリプルメディアと言います。

ペイドメディアとオウンドメディア

ペイドメディア

+ 即効性が高い
+ 施策が明確

- 広告スペースが限定的
- 広告費がかさむ

オウンドメディア

+ 情報発信のスペースは自社の裁量次第
+ コンテンツ作成後には費用が掛からない

- 発信後すぐには効果が出にくい(即効性がない
- 自社の裁量が多い一方で、施策が明確ではない

これはかなり補完性の高い組み合わせですね!

即効性のあるペイドメディアで潜在顧客との接点を増やして認知を図りオウンドメディアに集客してユーザーに価値提供をする
それからコンバージョンに繋げたり、他の目的を果たしたりという一連の流れが目に見えます。

アーンドメディアとオウンドメディア

アーンドメディア

+ 情報の拡散性が極めて高く、一つの投稿で知名度や評判が急上昇することもある。
+ ユーザーからの情報発信を促しやすく、信頼や繋がりを築くことができる。

情報のコントロールが困難であるため、批評や悪評もすぐに拡散されてしまう。
一過性のコンテンツである。

オウンドメディア

+ 自社のコンテンツなので、発信する情報に裁量を持てる。
+ 作成したコンテンツはWeb資産として持てる。

情報の拡散能力に乏しい。
- 工夫を凝らさなければ、ユーザーとのコミュニケーションは難しい。

こちらも補完性がありますよね。

ブログなどのコンテンツを作成したらSNSに投稿し、ユーザーに拡散してもらいます。

ユーザーが情報発信を担ってくれることや、投稿に対してユーザーがアクションを起こせることから情報の信頼性やネットワークを築くことができます。

また、オウンドメディアに流行りのUGCをデザインすることもできますね。

特徴まとめ

以上、二つの比較を通してオウンドメディアの特徴をまとめます。

自社の裁量で管理ができる

長期継続が可能

コスト効率が良い

信頼性やネットワークの構築が難しい

規模の拡大に時間がかかる

潜在顧客へのアプローチが困難

これらの特徴を把握し、シンプルですが
長所を活かして短所を克服するというシブイオウンドメディア戦略」があると強いですよね。

人気大学のオウンドメディア

さて、本題の大学が持つオウンドメディアの事例をご紹介します。

それぞれ特色があるのですが、3段階に要素分解をしてその要素をハッシュタグにして
該当するオウンドメディアにつけていきます。

以下が、分解するための3つの視点と各要素です。

クリエイター・ライター

記事やコンテンツを作っている人が誰かという観点です。

  1. #メディア編集部
  2. #学生ライター
  3. #外部ライター
特集対象

記事の内容として誰があるいは何が特集されているかという見方です。

  1. #学生生活
  2. #教授のオピニオン
  3. #卒業生
  4. #研究成果
  5. #学内施設
  6. #イベント
独立ドメイン

公式サイトのドメインから独立して別ドメインで運営されているか、あるいはホームページに組み込む形でサブディレクトリとして運営しているか、というポイントです。

  1. #独立型
  2. #ホームページ組み込み型

それでは、大学にハッシュタグをつけていきます。

近畿大学

#メディア編集部#学生ライター#外部ライター#学生生活
#教授のオピニオン#卒業生#研究成果#学内施設#イベント#独立型

近畿大学のオウンドメディア「Kindai Picks」のファーストビュー紹介画像
2014年から4年連続で人気ナンバー1大学※の近畿大学、いや近大のオウンドメディア「Kindai Picks」は、大学のメディアとは思えない作りでキュレーションサイトのようなUIをしています。

また、学生ライターだけでなく外部ライターまでもが寄稿しており、様々な特集が組まれています。

※国公私立含む※一般入試出願者のみ※東洋経済オンラインより

明治大学

#メディア編集部#研究成果#教授のオピニオン#独立型

明治大学のオウンドメディア「Meiji.net」のファーストビュー紹介画像

明治大学のオウンドメディア「Meiji.net」では、大学が誇る教師陣が専門家としての立場から話題のニュースや諸問題に対して見識を述べています。

オピニオンメディアに近いですね。

明治大学は、これ以外に学生の特集に特化した「MEIJI NOW」というコンテンツも持っています。

明治大学のオウンドメディア「MEIJI NOW」の紹介画像

早稲田大学

#メディア編集部#学生生活#教授のオピニオン#研究成果#学内施設#イベント#ホームページ組み込み型

早稲田大学のオウンドメディアのファーストビュー紹介画像

早稲田大学は、最近大々的に刷新したホームページに組み込む形でニュースメディアを持っています。

あらゆるトピックを扱い、記事の範囲が広いです。

また、株式会社読売新聞社とタイアップしており、当大学と関連のある記事をまとめています。

早稲田大学と株式会社読売新聞社のタイアップメディアの紹介画像

慶応義塾大学

#メディア編集部#学生生活#教授のオピニオン#研究成果
#学内施設#イベント#ホームページ組み込み型

慶応義塾大学のオウンドメディアのファーストビュー

先の早稲田大学と双璧を成す慶応義塾大学も、公式サイトに大きく「Keio Times」というメディアを持っており、サブディレクトリで運営しています。

著名な講師陣のオピニオンから学生生活の様子まで特集されています。

武蔵大学

#学生ライター#学生生活#卒業生#研究成果#学内施設#イベント#独立型

武蔵大学のオウンドメディア「きじキジ」のファーストビュー

武蔵大学のオウンドメディアは、「きじキジ」というWebマガジンです。

こちらのメディアは、なんと編集部まで学生が運営しているようで、
オリジナリティにあふれた特集やブログが多いです。

武蔵大学のオウンドメディア「きじキジ」の編集部紹介画像

津田塾大学

#メディア編集部#学生ライター#学生生活#教授のオピニオン#学内施設#イベント#独立型

津田塾大学のWebマガジン「plum garden」のファーストビュー紹介画像

今回唯一の女子大である津田塾大学は、学生と教師が作るWebマガジン「plum garden」というメディアを持っています。

キャンパス内の出来事だけでなく、キャンパスのある小平市に密着したコンテンツまで趣向をこらした内容のものが多いです。

京都大学

#メディア編集部#学生生活#教授のオピニオン#学内施設#イベント#独立型

京都大学のオウンドメディア「ザッツ・京大」ファーストビュー紹介画像

こちらは、今回唯一の国公立大学である京都大学のオウンドメディア「ザッツ・京大」です。

京都大学の自由な学風という理念を体現すべく、「That’s Kyodai!」つまり京大らしさを発信しているコンテンツです。

「ザッツ!」というウィジェットを紹介する画像

このように国内の2大SNSのウィジェットに並んで「ザッツ!」がありますね。

次は定量的に

以上、ここまで7つの大学のオウンドメディアの事例を見てきましたが、
分析ツールを使っていくつかの大学を定量的な観点から見ていきたいと思います。

今回使うツールは競合サイト分析ツールのSimilarweb PROです。

SimilarWeb PROを使った分析

西に近大、東に明大

サブディレクトリではアクセス解析ができないので、独立したコンテンツを持つ近畿大学明治大学を分析していきたいと思います。

直近の人気大学ランキングで1位と2位を分けた両校ですが、その人気にオウンドメディアが一役買っているとしたら、かなりいいケーススタディですよね。

それでは、早速行きましょう。

近畿大学

一か月でセッション数9倍以上!

2015年9月                 2015年10月
2015年9月の近畿大学のオウンドメディアをSimilarWeb Proで分析したキャプチャ2015年10月の近畿大学のオウンドメディアをSimilarWeb Proで分析したキャプチャ

左が記録が残っている中で一番古いデータの2015年9月でした。
月間のセッション数は5,000以下です。ローンチ直後なのでしょうか。

しかし、翌月の2015年10月には45,000にまで増えています。

なんとわずか一か月でセッション数9倍以上です!

過去1年間で最も人気のある記事

続いて、SimilarWeb上で見ることのできる最新情報は5月なので(7月初旬執筆現在)、そこから直近1年の「Kindai Picks」のデータです。

直近1年の「Kindai Picks」のSimilarWeb Proデータ

これは「Kindai Picks」のドメイン内で人気のページ、つまりセッション数の多いページを示しているのですが、ある記事がダントツで多いのが分かります。

Kindai Picks」のドメイン内で人気のページを紹介する画像

それがこの記事でした。この記事がアップされたのは2016年の8月なのですが、現在でも1番人気の記事であるようです。

この記事は株式会社電通が作成した、近畿大学の広告について書かれた外部ライターの記事です。

ライターは塩谷舞さんという方で、「milieu(ミリュー)」というオピニオンメディアの編集長をされています。

リファラル

次に「Kindai Picks」ユーザーがどのようなサイトから流入しているのか見てみましょう。

「Kindai Picks」ユーザーがどのようなサイトから流入しているのかを紹介する画像

1位は近畿大学の公式ホームページです。そして、注目したいのは2位と3位です。

2位は先ほどご紹介した塩谷舞さんの「milieu」で、3位はあの「News Picks」です。

また、5位以下にもニュースサイトなどのメディアの多さが目立ちました。
今回いくつかの大学を調査しましたが、「Kindai Picks」は特に外部メディアからのリファラルが目立っていました。

8月がピーク?

もうひとつ気になったのが、8月のセッション急上昇です。

「Kindai Picks」の8月のセッションが急上昇していることを教える画像

この2018年8月の動きの原因は何でしょうか!

8月と言えばオープンキャンパスの時期ですので業界的にとっては当たリ前かな?

と思って人気大学を10校以上調べたのですが、8月にセッションが上がっている大学はありませんでした。

他の大学も人気大学なので、オープンキャンパスの集客力が弱いわけではありませんが、少なくともWeb上の集客の伸びは少ないと言えます。

なので近畿大学は、オープンキャンパスで集客した人たちをWebメディアに誘導する戦略に長けているとも考えられます。

明大

SEO対策がすごい!?

SimilarWeb PROで分析をしていて気づいたのは、「Meiji.net」が検索に強いということです。

まず全トラフィック中、検索からの流入は過半数という水準です。

「Meiji.net」が検索に強いことを教える画像

これだけ検索からの流入が多いのなら、どんなキーワードでトラフィックを稼いでいるのか気になりますよね。

人気大学はやっぱりブランド検索?

明治大学も相当な知名度ですから、ブランド検索が多いんでしょうかね。

実際多くの大学メディアでは、「大学名 + メディア名」などのブランドキーワードからの流入が多かったのです。

さて、明治大学はどうでしょうか。

「meijinet」以外のクエリが全部ノンブランドキーワードであることを教える画像

なんと!3位の「meijinet」以外のクエリは全部ノンブランドのキーワードです!

キャプチャのサイズ的に見切れているのですが、「meijinet」関連のキーワードは全体の10%教授の名前が15%強残り70%以上がノンブランドという結果でした。
ちなみに、その中には月間検索ボリュームが1,5000近いキーワードもありました。

まとめると、

全トラフィックの52%がオーガニック検索
検索の70%以上が大学と直接関係のないキーワード

つまり、全トラフィックで見ても約35%をノンブランドキーワードで稼いでいるわけで、「明大SEO強い説」が強化されたと言えるかもしれません。

課外学習ー大学オウンドメディア事例に学ぶ

ここまで幾つかの大学オウンドメディアの事例を見てきましたが、
営利法人の事例と比較したとき、共通点や相違点はどこにあるでしょうか。

いや、相違点などあったでしょうか。

結局、オウンドメディアを運営するメリットや目的としては両者共通して、潜在顧客との接点を増やすこと、ブランドを確立すること、顧客のロイヤリティを育てることが大きいです。

「コンバージョンは学校法人よりも営利法人の方が大事である。」
「コンバージョンは営利法人よりも学校法人の方が大事である。」

どちらでもないですよね。ということはそういうことです。

オウンドメディアの本質

自社のことを偽りなく知ってもらう

せっかくオウンドメディアを持つのなら、ユーザーが知りたいことを偽りなく届けましょう。

ユーザーは情報の非対称性があることを知っています。
上っ面の営業トークはお腹いっぱいなんです。

本物のファンになってもらう

企業や大学の酸いも甘いも知った上でプロダクトやサービスを利用する。シェアする。リピートする。

ユーザーが情報発信の主体として影響力を増している中で、自社やプロダクトをシェアしてくれような顧客の獲得は極めて重要な経営課題です。

少し前まではその工夫をできる企業が利益を享受していましたが、最近は得意でない企業が利益を縮小してしまっているような気がします。

既存顧客へのアプローチ

例えば近畿大学の「Kindai Picks」編集部さんに話を伺ったところ、潜在顧客と言える受験生やその保護者だけでなく、既存顧客と考えられる在学生卒業生などへのアプローチも目的にされているそうです。

企業にとって既存顧客へのアプローチが大切なのは当然ですが、オウンドメディア上でもしっかり意識されているでしょうか。

改めて問うてみましょう。

訴求力のあるオウンドメディアを作る

自社のリソース

訴求力のあるオウンドメディアを作るために、自社にどんなリソースがあるのかを確認します。

大学の事例で見ると、在学生卒業生教授はもちろん、学問のカバー領域学校施設などが考えられます。

人気大学では、ホームページとは別にこれらのリソースを余すことなく特集したオウンドメディアを運営しています。

外部のリソース

また、リソースを社外にも求める姿勢が大切です。

いくつかの大学は新聞社とタイアップしたり、ライターを招いたりしていました。

確かに、大学は研究所という側面を持つので、研究成果などが外部で取り上げらる可能性はチャンスは一般企業よりも多いかもしれませんが、諦める理由にはなりません。

最後に

ここまでありがとうございました。

様々な大学のメディアを見てきてまず思ったのは、やっぱり大学もデジタル戦略をする時代なのだなということでした。

冷静に考えてみれば、大学には様々な英知が集まるので当たり前なのかもしれませんけど。

また、今回の記事の本旨でもあるのですが、営利法人も非営利法人もオウンドメディアを持つ本質・目的は同じだという仮説は強化されたと思っております。

オウンドメディアを作成改良しようとしている方々にとって、今回の事例紹介が何かの気づきになれましたら幸いです。

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Masahiro

Masahiro

経営学を専攻する学部4年生だが、今年からフィンランドに留学予定で19卒見込み。ギャプライザー歴は3カ月で、ライター歴は2週間。Facebookでの記事の講評大歓迎です。

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