【自動車市場調査:アメリカ編】2つのデータを使った市場解析レポート

2社合計の総売上高は、約33兆円。

これは、アメリカの大手自動車企業”Ford Motor Co”と”General Motos”の合計額です。

この大規模なアメリカの自動車市場ですが、販売台数が縮小傾向にあります。

一方、オンラインデータは対極のデータが見受けられました。自動車専門ECサイトのアクセス数や、”電気自動車(EV)”に関する検索数は年々増加しています。

市場概況の本質は、一体、何なのか。

その核心を探るためには、オフラインおよびオンライン、両方のデータが必要です。

データを掛け合わせ、市場を俯瞰して見る。

本稿では、有価証券報告書等を用いたオフラインデータ、そしてマーケットインテリジェンスツールSimilarWebを使ったオンラインデータの2つを用いて、アメリカにおける自動車業界の現状を解読していきます。

※本稿の「自動車」は全ての乗用車、軽車両を指し、軽トラックも含まれます。

市場は縮小?外的要因が多分に絡む自動車市場のイマ

自動車世界第二位の巨大市場

販売台数からみる市場のトッププレイヤー

世界における、2017年の乗用車販売台数データ。これによると、アメリカの自動車市場は全体の9%を占め、中国に次ぐ第二位の巨大市場です。

この巨大市場。

多くの方にとって既知の事実かもしれませんが、アメリカの自動車市場における売上構成比はアメリカ国内企業のみならず、海外企業勢も高い市場占有率を誇っています。

上記のように、国内外の自動車企業が多分に絡み合う特殊な市場。

通じて、輸出入の影響が市場変動に大きく関与するしてきます。続けて、現状の貿易取引データを見ていきましょう。

輸入↑輸出↓

先ほどの売上構成比について、もう少し深掘りしていきます。

先述した通り、アメリカ国内では国内産業の売上構成比が市場を席巻しているものの、海外企業の伸びが顕著です。

輸入のデータからも見るに、海外からの自動車供給は増加傾向です。ただし、2016年から2017年にかけては成長率が鈍化。

この背景には、関税やNAFTAからの離脱等、輸入依存から脱却する事を目的とした政府の動きが垣間見れます。

一方、輸出は減少トレンドです。

これらのデータからは、読み解き方次第で様々な見解が出ると予想されます。

例えば、近年の輸出台数の減少は、米国内での自動車消費の増加傾向と、国内向け自動車の生産比重の高まりを示している、といった見方もできるでしょう。

事実として、輸入が増え、輸出が減っている。これがアメリカ自動車業界のイマです。

オフラインデータまとめ:市場は縮小傾向?

政府による輸出入の調整。また詳しくは後述しますが、電気自動車-Electronic Vehicle(以下:EV)による規制など、アメリカの自動車業界は外的要因の影響を多分に受けながら変化し続けています。

また、アメリカ国内の四輪車販売台数推移は2015年から減少傾向にあるため、自動車への需要自体は縮小している可能性があります。

この複雑な市場概況を解読するためには、オフラインの解析だけでなく、オンライン市場の解析も必要となります。

小売業界の売上高を押し上げる方法

引用元:小売業界から高利益率を維持する施策を学ぶ「成長」から「成熟」への戦略分岐点

上記はハーバード・ビジネス・レビューの論文からの引用。デジタルトランスフォーメーションが当たり前のように謳われる現代にとって、オンラインを用いたチャネル戦略は必須でしょう。

では、どこから始めるべきか?

まずはマーケット・インテリジェンスツールSimilarWebを使い、オンライン上における自動車市場をマクロ観点で見ていきます。

オンラインデータによる自動車業界分析

データ条件

SimilarWeb独自のアルゴリズムから抽出した”自動車と乗り物”カテゴリーにおいてアメリカ国内からアクセスされた情報のみを抽出。

化粧業界と類似した傾向

同カテゴリーに含まれるサイトに対し、モバイルからの流入が約64%と、デスクトップからの流入量を上回ります。

これは【化粧業界 アメリカ編】の記事で紹介したデータと類似した傾向が見受けられます。アメリカのスマートフォン使用率が78%の高水準であることが、要因の一つでしょう。

中古車・新車をともに扱う自動車専門ECに注目が集まる

モバイルによる流入が多い自動車業界のオンライン市場。

ここから、この市場においてどのサイトがマーケットシェアを占有しているのか見ていきます。

オンラインの自動車市場でアクセスシェアを席巻しているのは「cargurus.com」。

その占有率は2位と倍以上の差をつけ、9.14%の流入を獲得しています。

カテゴリーランキング cargurus.com

cargurus.comとは?

シェア1位のcargurus.com。これは、オンライン上でユーザーと欲しい車、ないしディーラーを的確に繋ぎ合わせる中古車・新車をともに扱う自動車専門ECサイトです。

CarGurus

cargurus.com ランディングページ

At CarGurus, we’re building the world’s most trusted and transparent automotive marketplace. We make it easy to find great deals from top-rated dealers and provide the guidance consumers need to make a more informed purchase.

CarGurusで私たちは、世界で最も信頼のあり透明性のある自動車市場を築いています。また、最高評価のディーラーとの素晴らしい取引の発見を容易にし、消費者の求めるより情報に富んだ購買のための指針を提供しています。

引用元:About CarGurus

SimilarWebcargurus.comのアクセスデータを調査すると、そのアクセス数は増加トレンドにあります。

時期的要因によるアクセストレンドの増減があるものの、ピーク時のアクセス数を比較すると、全体的には増加傾向です。

CarGurusはアプリも用意しています。そのため、アクセストレンドの増加は相関してアプリダウンロード数増加と相関している可能性も秘めています。

本稿ではcargurus.comの深掘りは割愛します。

緻密にオンライン市場を解析する場合は、ミクロ観点でのアプローチが必要。

【競合EC分析】検索キーワード解析手法まとめ Part2 

細かいWeb解析に興味がある方は、上記の記事をご参考ください。SimilarWebを使ったミクロ観点による解析例が紹介されています。

電気自動車に関するユーザーの関心はどこへ?

ここからは少し、着眼点を変えます。

自動車市場におけるEVのみに焦点をあて、オフラインデータとSimilarWebを使ったオンラインデータの2つを用いて市場を解読していきます。

EV市場拡大の背景

EV市場拡大の背景:規制

世界的にEVの開発が進む理由の一つとして、CO2(二酸化炭素)排出規制を始めとした各種環境規制の厳格化があります。

アメリカにおける規制の代表的なものに、米国カリフォルニア州の「ZEV(Zero Emission Vehicle)規制」が挙げられます。

ZEV(Zero Emission Vehicle)規制

同州内で一定台数以上販売するメーカーは販売台数の一定比率をZEV(無公害車、ゼロ排出ガス車)にしなければならないこと、2050年までに同州の普及台数のうち87%をZEVにすることなどが定められています。

引用元:Zero Emission Vehicle (ZEV) Program

このような背景を一因に、電気自動車の開発・販売がアメリカでは進んでいます。

EV市場拡大の背景:走行距離

また、技術革新によるEVの利便性も関与しています。

引用元:US Electric Car Range Will Average 275 Miles By 2022, 400 Miles By 2028-New Research (Part 1)

上記はフル充電時の電気自動車走行距離を示したもの。年々増加し、現在は約306km走行できます。2022年には約443km走行可能になるとの予測。

EV市場拡大の背景:まとめ

環境規制の厳格化。技術革新によって利便性向上による、消費者の需要増加。

他にも理由は多々ありますが、どれをとっても今後、自動車業界がEVシフトして行く事は間違いないでしょう。

このようなEVシフトが起こる中、ユーザーはオンライン上でEVに関心を示しているのでしょうか?

オンライン上では?

データ条件

ここからはSimilarWebを使い、オンライン上のEV市場調査を行います。

独自に選定したEVに関するキーワード群221個をSimilerWebに追加。データ条件を下記に設定した上で調査しました。

  • 期間:2017年7月~2018年12月
  • 国:アメリカ
  • デバイス:デスクトップとモバイル合算
  • 流入チャネル:オーガニック

この調査を行うことで、ユーザーがEVに関して何に興味関心を寄せているのかがわかります。

成長するオンラインEV市場

EVに関連したキーワード市場調査を行なったところ、あるサイトに流入が集まっていました。

*オーガニック流入のみの推移。SimilarWebの機能上、上位5ドメインのみ表示されます。

2018年からは上位5サイトに流入が集中。

中でも流入を増やしてきているのは、edmunds.com。2018年1月頃からEVに関するキーワードで大幅にトラフィックを伸ばしています。

edmunds

edmunds.com ランディングページ

Edmunds.com is the place to go to when you’re shopping for a car and you want to buy smarter. You can discover, price, and buy a car with our website. (中略)Our website can help you buy a car in the United States through our large network of dealerships.

edmunds.comは車を賢く買うためのサイト。ここでは、車の発見、値付け、購入ができます。(中略)広大なディーラーネットワークを通してアメリカ国内で自動車を購入することができます。

引用元:What is Edmunds? We can help you buy smarter

edmunds.comは先ほど取り上げたCarGurus同様に、サイト上で自動車購入を目的としたECです。

SimilarWebでデータを分析してみると、全体的には横ばいのアクセストレンド。

cargurus.comのような全体的な成長は見受けられません。

とはいえ、EV関連のキーワードで流入を獲得できているという事実は、今後、EV市場拡大が見込まれる概況において非常に優位性のある事実でしょう。

本稿では割愛しますが、edmunds.comがなぜEV関連のキーワードで流入を得ているのか。また、どのようなキーワードで獲得しているのか。

SimilarWebを使い、深掘りする事で見えるEVにおけるインサイトが見つかるかもしれません。

読者の皆様の示唆がございましたらSimilarWeb Twitter上にリプライ、引用RTでコメントお待ちしております。

まとめ

本稿のまとめは以下になります。

  • 貿易取引動向は、輸入増加に対して輸出は減少
  • 政府の動きによる、輸入は減少する可能性あり
  • 無公害車の販売数増加が義務付けられている地域がある
  • 電気自動車の走行距離は年々増加
  • 市場全体のアクセストレンドは横ばい
  • 自動車専門ECが台頭
  • EVに関連するキーワードから注目の集まるサイトが限られ始めている

輸入増加・輸出減少の現状や政治的背景。また規制や技術革新。これらにより、自動車業界は変化が絶えません。

市場動向から、各社ともにEVの開発および生産を行わなければならないのは明らか。

この複雑な状況下において、質の高い情報は企業の舵取りにおいて重要です。

オフラインデータとオンラインデータを駆使する。これが市場を正確に解析する上で重要な要素となってくるでしょう。

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ryo

ryo

イスラエルの最先端ツールを扱う株式会社ギャプライズにジョイン。新たに発足したMarket Intelligence RepresentativeのNo.2に就任。

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