【自動車市場調査:ドイツ編】2つのデータを使った市場解析レポート

自動車大国ドイツ。

グローバルプレイヤー上位5社に常時ランクインし、Volkswagenに関しては日本のトヨタ自動車と日々、1位の座を争っています。

グローバルプレイヤー上位5社

データ引用元:各社財務諸表

メルセデスベンツで有名なDaimlerは売上高で3位。アメリカ企業を含めた上位5社の売上高は増加傾向にあり、世界的に市場は活性化しています。

グローバルプレイヤー上位5社売上高推移

データ引用元:各社財務諸表

堅調に伸びているように見える、ドイツの自動車業界。

しかし、排ガス不正事件や、環境汚染による市街地への乗り入れ禁止など、様々な外的要因によって迅速な対応に追われています。

また、オンライン上においても大きな動きが見受けられます。ドイツではECサイトの市場規模拡大を示したデータが公開されています。

市場の拡大、環境問題、オンライン上における購買行動の変化。今、ドイツの自動車業界では何が起こっているのか。

本稿ではニュースや政府の発表によるオフラインデータと共に、マーケットインテリジェンスツールSimilarWebを用いたオンラインデータも掛け合わせて自動車業界を分析していきます。

ディーゼル車に終止符が打たれる?

約120年前に発明されたディーゼル・エンジン技術を搭載した自動車で有名なドイツ。しかし、その歴史に終止符が打たれるかもしれません。

排ガス不正事件

2015年9月、Volkswagen AG(以下VW社)は排ガス規制を逃れるソフトウェアを搭載していたことが発覚。不正ソフトで検査していた自動車の数が全世界で約1,085万台に上り、約215億ドル(約2兆3,650億円)の制裁金が課されました。

同社の株価は一時43%の下落。この事件を発端に、国内では環境への配慮が見直され始めました。

市街地乗り入れの禁止

ドイツでは以前、EU法が定める窒素酸化物濃度の基準を上回る状態が続いていました。そこで環境保護団体「ドイツ環境援助(DUH)」が行政訴訟を起こし、シュツットガルト行政裁判所がその訴えを裁許。

「2018年1月1日からディーゼル車の市街地への乗り入れを禁止する」という判断を下しました。

排ガス不正事件とのダブルパンチにより、ディーゼル車の需要は減少していったのです。

参照元:ドイツ自動車産業を襲う「三重苦」は産業の未来をどう変えるか?/ドイツ自動車産業が直面する課題と今後の展望

ガソリン車・ハイブリッド車・電気自動車の需要増加

環境の変化は自動車業界に変革を促し、ディーゼル車の新規登録台数の推移は顕著に下降。

新車登録台数の推移

データ引用元:ドイツ自動車産業が直面する課題と今後の展望

ガソリン車は以前として増加傾向にあります。

旧来のディーゼル・エンジン技術を適用した自動車が減少する一方で、新たな技術を適用した自動車が増えてきています。

それは、ハイブリッド車と電気自動車です。

新車登録台数の推移:ハイブリッド車/電気自動車

データ引用元:ドイツ自動車産業が直面する課題と今後の展望

特に電気自動車(以下:EV)への注目が集まっています。

VW社は正式に2兆6000億円をEVに投資すると発表しており、さらにDaimler社は2022年までに傘下のメルセデス・ベンツ全ラインナップにEVモデルを投入することを発表しています。

異常なほどの巨額投資から、自動車業界がEV市場へ大きなシフトを起こすことは火を見るよりも明らかです。

オフラインデータによる概況まとめ

ここまでのまとめです。

  • 2015年9月:VW社の排ガス不正事件
  • 2018年2月:ディーゼル車の市街地乗り入れが禁止
  • ガソリン車、ハイブリット車、EVの需要増加
  • ドイツ自動車メーカーがEVへ巨額投資

排ガス不正事件、そしてディーゼル車市街地乗り入れ禁止による流れから、環境を意識した動きを見せるドイツの自動車業界。今後もこの流れが続くのでしょうか。

ここまで、ニュース・新規登録台数等のデータを元に市場を分析してきました。

ここからはオンラインのデータを元に、市場解析を進めていきます。

人々がオンライン上で何に注目を集めているのかを流動的なデータを元に把握することで、より高い確度で市場を俯瞰することが可能となります。

オンラインデータを用いた自動車カテゴリー概況

マーケット・インテリジェンスを提供するSimilarWebを用いて、ドイツ自動車業界のオンライン上の動向を分析。

業界の定義付けとして、本稿ではSimilarWeb独自のアルゴリズムから抽出した”自動車と乗り物”カテゴリーにおいてドイツ国内からアクセスされた情報のみを利用します。

自動車ECにアクセスが集中

まずは、ドイツにおける自動車業界全体のアクセストレンドを見ていきます。

季節性のあるトレンドを繰り返し、全体的なアクセスボリュームは横ばい傾向にあります。

ドイツの自動車業界アクセストレンド

デバイス別でみると、ドイツでは約55%がモバイルからの流入。モバイルが65%を占めるアメリカと比較すると、ドイツにおけるデスクトップからの流入の割合は高めであるといえます。

では次に、この業界内においてどのWebページへの流入が多いのかを見ていきましょう。

トラフィックシェア mobile.de首位

通年、業界における流入量トップを維持し続けるのはmobile.deです。

”自動車と乗り物”カテゴリー トップ5

直近では全体比較で約22%の流入を獲得。ドイツの自動車業界における人気サイトとなっています。

一体、どのようなサイトなのか。

最も注目を集める自動車ECサイト:mobile.de

mobile.de スクリーンショット

You will find new and used cars, as well as motorhomes, motorcycles and utility vehicles at mobile.de – Germany’s largest vehicle marketplace online.

キャンピングカーやバイク、スポーツ用多目的車と同様、新車・中古車が、ドイツで最も大きなオンライン車両市場のmobile.deで見つかります。

引用元:mobile.de サブスクリプト

自動車だけでなく、二輪車も含めた駆動車関連専門のECサイト。

アクセストレンドは業界の傾向と同様に横ばいで、かつモバイル流入が約55%。安定したアクセス数を獲得しています。

mobaie.de アクセストレンド

現在の市場概況を元にmobile.deを深掘りしてみます。

ディーゼル車が衰退し、電気自動車の注目が高まっている昨今。では、オンライン上でも同様のことが起こっているのでしょうか?

ドイツの自動車業界で最もアクセス数のあるmobile.deにおいて、EVを意味するドイツ語「elektroauto」に関連したキーワードによる流入はどれくらいあるのかを見ていきます。

mobile.deを含んだ検索

※SimilarWebのアルゴリズムに基づき抽出したデータですので、実データと異なる場合がございます。ご了承ください。

上記は、SimilarWebでmobile.deへの流入キーワードを解析し、その中で「elektroauto」を含むキーワードのみに絞り、表にまとめたものです。

“elektroauto”を含むキーワードでのmobile.deへのアクセスはほどんどないことを示しています。

ドイツ自動車企業が電気自動車に関心を集め投資を行う中、ユーザー側の関心は薄いのでしょうか。はたまた、”電気自動車”のキーワードは他のサイトへ流れているのでしょうか。

”電気自動車”で注目を集めるサイトは?

次に、訪問数の多いサイトを解析するのではなく、EVに関するキーワード群を元にどのサイトへ最もアクセスを集めているのかを見ていきます。

EVに関連した210のキーワードを独自に選定し、そのキーワードで何のサイトに流入しているのか、再度SimilarWebを利用し見ていきます。

また、データ条件は以下です。

  • 期間:直近1年間
  • 国:ドイツ
  • キーワード群:EV関連
  • 流入デバイス:モバイルとデスクトップ

流入先は…ECサイトではなかった

調べてみると、行きつく先はECサイトではなく、メディアサイトでした。

EV関連キーワード トップ5

2位のWikipediaを除くと、その他4つがすべてメディアサイト。1位のutopia.deは全体の約4分の1を占めています。

ドイツのオンライン自動車市場では、電気自動車に関して検索したのちにユーザーはECサイトではなく、メディアに流入しているということがわかりました。

すなわち、自動車売買関連ECにはEVに関するキーワードによる集客は進んでいない可能性が高いです。

アメリカではEVに関するキーワードで検索すると、自動車関連ECに流れる傾向にあります。

オフラインデータ同様、オンラインデータも国により異なるため、自動車業界については念入りに調査が必要でしょう。

■関連記事

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【自動車市場調査:フィリピン編】2つのデータを使った市場解析方法※近日公開予定

まとめ

本稿のまとめです。

  • 排ガス不正事件
  • ディーゼル車市街地乗り入れ禁止
  • エコカー需要の増加
  • 各社電気自動車(EV)への巨額投資
  • mobile.deがカテゴリートップのアクセス数
  • EVに関するキーワードではメディアへ流入

「不正事件から乗り入れ禁止」の流れを背景に、ガソリン・ハイブリット・電気自動車の需要が高まっています。特に開発への巨額投資で注目を浴びるEVですが、オンライン上ではまだ購買フェーズにはありません。

これから確実に伸びるであろうEV市場。オフラインとオンラインのデータを駆使し、この市場を席捲するのは一体、どこなのか。注目です。

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ryo

ryo

イスラエルの最先端ツールを扱う株式会社ギャプライズにジョイン。新たに発足したMarket Intelligence RepresentativeのNo.2に就任。

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