【エドテック市場調査:アメリカ編】テクノロジーによる効率化が凄まじい「大学教育」の実態。

フィンテクやポリテック――近頃、「○○テック」という言葉を耳にする機会が増えました。

テクノロジーが著しい成長を遂げる現在、あらゆる業界がIT化を図っています。

エドテック――教育(education)× テクノロジー(technology)

教育業界もIT化の波に乗り、従来のアナログな姿から変化を見せつつあります。

エドテック edtech market scale

(出典 フロスト&サリバン

上は、世界のエドテック関連市場の売上高と成長率の経過及び予測をグラフにしたものです。

エドテックは特に米国で盛んであったが、近年は世界各国に広がっている。2015年から2022年のエドテック関連市場の平均成長率は18.3%であり、2022年時点では400億ドルを超える市場規模になると予想されている。

(出典 フロスト&サリバン

テクノロジーの発展によって、グローバル規模での成長が見込めるエドテック市場。

そこで、GDP世界第一位を誇るマーケットリーダー・アメリカの市場概況はいかがなのでしょうか。

今回はエドテック市場の中でも「大学教育」に焦点をあてたオフラインデータ、そしてマーケットインテリジェンスツールSimilarWebで取得したオンラインデータの2つを用いて、アメリカにおけるエドテック市場を解読していきます。

エドテックが既に「大学教育」の常識を変えている

広がる「オンライン学習」の波

MOOCの急成長

今、テクノロジーを活用した新しい大学教育システムが、超大国アメリカにて広がりつつあります。

オンライン学習が徐々に浸透し、「キャンパスに通い、他の学生とともに授業を受ける」というこれまでの大学の常識が既に崩壊しかけているのです。

この背景の一つに、近年利用者を大幅に増やしているMOOCMassive Open Online Course)の存在があります。

MOOCとは?

MOOCとは、大規模公開オンライン講義を意味するMassive Open Online Courseの略称であり、ムーク、または複数形のCoursesからムークス(MOOCs)と読みます。

インターネット環境があればだれでもアクセスできる、大学レベルの高等教育オンライン講義を提供しており、テストに合格すれば単位を取得したことを証明する修了証が発行される場合もあります。

修了証の発行や一部有償の講義を除けば、基本的にはほとんどが無償のサービスとなっており、2008年頃アメリカでスタートしたのを皮切りに、2012年頃世界中に急拡大、「教育の民主化革命」ともいわれ、2015年の総受講者数約3,500万人という人気を得るまでに成長しました。

(出典 ボクシルマガジン

MOOCは、大学生は勿論のこと、インターネット環境にいるすべての人の教育へのアクセスを身近なものとしました。

以下はMOOCの講座数の増減グラフです。講座数は年々増え、2018年末には11400講座にも及んでいます。

エドテック edtech growth of moocs

(出典 CLASS CENTRAL MOOCREPORT

生徒数や提携大学数についても、2013年から2018年にかけての激増ぶりが窺えます。

エドテック edtech growth of moocs

(参照 CLASS CENTRAL MOOCREPORT

教育省に認定されたオンライン学位取得プログラム

また、アメリカではMOOCのほかに、オンライン学位取得プログラムを設けているケースも多くあります。

オンライン教育の普及を促進しているGUIDE TO ONLINE SCHOOLS は以下のように述べています。

 2019 Accredited Online Colleges & Schools

2019年に認定されたオンライン学校と大学の包括的なリストには、準学士、学士、修士、博士、および履修証明のレベルに至るまで、30,327以上ものオンライン学位が記載されています。すべての学校は、教育省によって承認された機関によって認定されており、年間平均授業料はわずか24,587ドルです。

(出典 SRエデュケーショングループ

既に3万以上ものオンライン学位が正式に認められているアメリカ。

日本においても大学教育、ひいては教育全体の変革が必要ではないかと問われているなか、アメリカでは既にテクノロジーを活用した先進的な教育スタイルが進んでいるようです。

オフラインデータまとめ

エドテック市場概況のオフラインデータのまとめです。

  • 「MOOC」の発展、大学による「オンラインコース」の樹立が急進
  • 2019年、既に30,327以上もの「オンライン学位」が正式に認定されている

2022年には400億ドルを超える市場規模に達すると予想されるエドテック市場。その背景にはMOOCの発展、またオンライン学位認定の実情がありました。

MOOCやオンライン学位認定プログラムは、もちろんオンライン上、すなわちWebサイトやアプリケーションにて活用されています。

では実際に、市場規模の拡大に相関して、ユーザーのエドテック活用は増しているのでしょうか?

マーケットインテリジェンスSimilarWebのデータを駆使し、オンライン上におけるエドテック市場の詳細を調査していきます。

エドテックは米国教育業界の注目の的

マーケット・インテリジェンスを提供するSimilarWebを用いて、アメリカ教育業界のオンライン上における動向を分析。

業界の定義付けとして、本稿ではSimilarWeb独自のアルゴリズムから抽出した”キャリアと教育/教育”カテゴリーにおいてアメリカ国内からアクセスされた情報のみを利用します。

*SimilarWebのデータは実データではなく、SimilarWebのアルゴリズムによって集計した類推データになります。そのため、記載されたトラフィック等のデータ数値は実データと異なる可能性がございます。

eラーニングの要「教育関連ソフトウェア」が市場を占める

まず、アメリカにおける教育業界全体のアクセストレンドを見ます。

エドテック edtech access trend

※最新18ヶ月(2017年11月~2019年4月) / 全てのデバイス – 引用元;SimilarWeb

アクセストレンドは増減を繰り返しています。デバイスの比率はデスクトップからの流入が約60%、モバイルが約40%。

では次に、どのようなWEBサイトが業界の上位を占めているのかを見ていきましょう。

エドテック edtech traffic shareエドテック edtech traffic share

最新18か月(2017年10月~2019年3月)/ 全てのデバイス – 引用元;SimilarWeb

上の表及びグラフは業界における上位10サイトのマーケットシェアです。

業界内で最もアクセスシェアが多いのは、学習管理システムのinstructure.com。2位には単語学習プラットフォームのquizlet.comが続きます。

3位以降はシェアが1~4%台、と近接した値を示しています。

上位10サイトの特徴を見てみると、学校のホームページや偏差値情報サイトなどはランクインしていません。特に多かったのは、学生・企業向けLMS(Learning Management System:学習管理システム)でした。エドテック edtech share top10

※図:筆者が独自に調査および作成

他には、オンラインでの学習コンテンツや学校管理システムへの流入が目立ちます。

つまり、流入を多く集めるサイトの内容のほとんどが「エドテック」だったのです。

なかでも目立った、LMS(学習管理システム:Learning Management System)。1、3、7、10位にはLMSを取り扱っている企業のサイトがランクインしました。

LMS(Learning Management System)

LMS(学習管理システム:Learning Management System) とは、eラーニングの実施に必要な、学習教材の配信や成績などを統合して管理するシステムのことです。 LMSは、eラーニングでのOS(オペレーションシステム)とも言える重要な存在です。

(引用 SATT)

競合が多く集まるLMS。

その中でもトラフィックシェアNo.1のinstructure.comは、一体、どのような特徴があるのでしょうか?

概要と共に、SimilarWebを使ってWeb概況を解析していきます。

「大学×テクノロジー」の時代

instructure.comは学習プラットフォームのCanvas、そして従業員開発プラットフォームのBridgeを提供するエドテック企業です。

instructure.com

Instructureは、人々を賢くするソフトウェアを製造する教育技術企業です。具体的には、私たちはCanvas(教育と学習をより簡単にする学習プラットフォーム)とBridge(人を中心とした企業のための従業員開発ソリューション)を提供します。

エドテック edtech instructure.com

(出典 Instructure

アクセス数は増減を繰り返しながらも、全体的に伸びを見せます。

エドテック edtech instructure.com access trend

最新24か月(2017年5月~2019年4月)/ 全てのデバイス – 引用元;SimilarWeb

モバイルよりもデスクトップからの流入が多く、流入数は増加の傾向。

次に、instructure.comへどのように流入しているのか?流入チャネルを探ります。

エドテック edtech inflow channel

※最新18ヶ月(2017年11月~2019年4月)/ デスクトップのみ

やや見づらいですが、薄墨色で表示されているバーは同業界全体における流入チャネルの平均値を表しています。

平均と比べて、「リファラル(他サイトからの流入)」からの流入が圧倒的に多いことがわかります。

ではそのリファラル元はどこなのでしょうか。

エドテック edtech instructure.com referral

※最新18ヶ月(2017年11月~2019年4月)/ デスクトップとモバイル

リファラル元のトラフィックシェアトップ10のうち、2位~10位のサイトが大学のホームページでした。

実際に、2位にランクインしているutexas.com(テキサス大学オースティン校のホームページ)に遷移してみます。

エドテック edtech utexas.com

エドテック edtech utexas.com

「Faculty & Staff >Teaching and Research Tools」を開くと、instructureが提供する「Canvas」というLMSが記載されていました。

大学が公式に、学習管理ツールとしてLMSを利用。故に、instructure.comは大学からのアクセスを得ていると考えられます。

オンラインデータまとめ

SimilarWebで調査した教育業界の概況をまとめます。

  • 教育カテゴリーにおけるトラフィックシェアが高いサイトの多くが「教育関連サービス」
  • トラフィックの多いLMSの中でも「instructure.com」がNo.1シェアを獲得
  • 「instructure.com」の流入チャネルは大学からの遷移率が高いことが特徴

オンライン上ではLMSに注目が集まる教育業界。

今回は教育業界全体に注目しましたが、LMSや学習コンテンツサービスに絞って業界を見てみると、また違った特徴が浮き彫りになるかもしれません。

こちらでは業界を絞った無料SimilarWebオンラインセミナーをご案内しています。ご興味のある方は、ぜひ申し込んでみてください。

まとめ

本稿のまとめです。

  • 「MOOC」の発展、大学による「オンラインコース」の樹立が急進
  • 2019年、既に30,327以上もの「オンライン学位」が正式に認定されている
  • 教育カテゴリーにおけるトラフィックシェアが高いサイトの多くが「教育関連サービス」
  • トラフィックの多いLMSの中でも「instructure.com」がNo.1シェアを獲得
  • 「instructure.com」の流入チャネルは大学からの遷移率が高いことが特徴

今回の調査で、オンライン学習LMSを利用した教育、すなわち「eラーニング」が米国の大学教育を既に変化させつつあることが判明しました。

IT化が進む教育業界、それに伴い急激に拡大するエドテック市場。

今後、さらなるテクノロジーの発展により、「VRやAR、MRなどのxR」「ゲーミフィケーション」が市場に参入するという説も多々あります。

テクノロジーこそが開くことのできる、教育の新しい可能性に注目です。

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