【エドテック市場調査:インド】流行はP2P x ゲーム?デジタルが教育の在り方自体を変える未来。

エドテック――教育(education)× テクノロジー(technology)

今、様々な業界がIT化を図るなか、教育業界も例に漏れることなくテクノロジーの領域に足を踏み入れています。

そしてあらたに生まれたのが「エドテック」市場。

前回のレポートでは、アメリカにおけるエドテック市場を調査しました。

【エドテック市場調査:アメリカ編】テクノロジーによる効率化が凄まじい「大学教育」の実態。

本稿はエドテック市場調査第二弾として、インド編を展開。

IT大国とも呼ばれるほどIT産業が盛んなインドにおけるエドテック市場の動向はいかがなのでしょうか。

KPMGインド社とGoogle社が作成したレポート『ONLINE EDUCATION IN INDIA: 2021』によるオフラインデータ、そしてマーケット・インテリジェンス・プラットフォームSimilarWebで取得したオンラインデータの二軸で分析します。

デジタルが教育の在り方自体を変える未来

KPMGインド社とGoogle社が2017年5月に共同公開したレポート『ONLINE EDUCATION IN INDIA: 2021』をもとに、現在、及び未来のインドにおけるエドテック市場の動向を探ります。

急進する教育業界の「デジタルトランスフォーメーション」

2021年までに最も成長するのは「オンラインテスト対策市場」

レポートによると、エドテック市場は2016年から2021年にかけて、年平均52%の割合で成長し、市場規模は2.5億米ドルから19.6億米ドルまで拡大すると見込まれています。

エドテック市場:市場規模は2.5億米ドルから19.6億米ドルまで拡大

(画像;『ONLINE EDUCATION IN INDIA: 2021』11頁より)

エドテック市場をさらに小規模の市場に分類し、2016年と2021年の市場規模の比較、年平均成長率を表したのが以下の図です。

エドテック市場:市場ごとのGAGR

※CAGR…年平均成長率(単位:100万米ドル)

(画像;『ONLINE EDUCATION IN INDIA: 2021』14頁より、一部筆者が翻訳・差し替えしています)

どの小分類の市場も、2021年にかけて確実に規模拡大が見込まれています。

さらに、以下は2016年、2021年の各小分類の市場のエドテック市場全体におけるシェアを表したグラフです。

エドテック市場:オンラインテスト対策

(画像;『ONLINE EDUCATION IN INDIA: 2021』14頁データより、筆者が独自に作成しています。)

年平均成長率が64%と予測されている「オンラインテスト対策市場」は、なかでも最も伸びる市場であり、エドテック市場全体におけるシェアも5年間で17%から26%まで拡大すると見込まれています。

では、その「オンラインテスト対策市場」はどのようにして成長していくのでしょうか?

地方で勢力を伸ばす「オンラインテスト対策」市場

レポートによると、オンラインテスト対策市場はtier2及びtier3と呼ばれる地区で成長すると期待されています。

tier2/tier3とは

インフラ整備の状況、人的資源、サポートエコシステム、QOL、事業継続性リスク、コストなどの基準によって、インドは都市が分類されています。

デリー、ムンバイ、コルカタなど人口が400万人を超える都市はtier1と称され、人口が100万人~400万人未満の都市はtire2、それ以下はtier3、4…と称されています。

(参照;JETRO

大都市に比べて発展途上のtier2、tier3では、テスト対策に関してオフライン上で選択肢に限りがあることから、オンラインプラットフォームへの移行が推奨されています。

さらに、現在急速に進むネットインフラの整備や電子支払いシステムの普及が、それらの地域でのオンラインテスト対策市場の成長に寄与すると考えられています。

エドテックの将来像

2021年に向けて、インドのエドテック市場全体の大規模な拡大が見込まれており、特に「オンラインテスト対策」市場は最も大きな成長が期待されているとわかりました。

では、2021年よりさらに先の未来において、エドテックはどのように成長していくのでしょうか?

レポートでは、エドテックの将来的なトレンドとして以下を掲げています。

  • 学習者が従来のようなオフラインの場での教育と、テクノロジーを利用したオンラインにおける教育を行き来できるような「ハイブリッド型のビジネスモデル」が出現する。
  • オンラインでの学習が可能なことから「生涯学習」の概念がより普及する
  • あらゆる教育の場で「ゲーミフィケーション*」が取り入れられ、「学習をゲーム化させる」ことによって学習者のエンゲージメントを高める(*ゲーミフィケーション:ゲーム以外の分野でゲームの要素を持たせること)
  • 学習者のニーズに沿って、学習者同士のネットワークを形成する「P2P(Peer to Peer)」型のビジネスモデルが派生したり、企業同士がタイアップして学習者にインターンシップをオファーするなど「付加価値サービス」を提供するようになる
  • 「VR」「ウェアラブル端末」「顔認証システム」などの高度なテクノロジーが教育に取り入れられ、学習者の学習体験がより豊かなものになる

エドテック市場:FUTURE OUTLOOK

数年以内に学習の概念は従来のアナログな姿からデジタルに置き換えられ、さらに将来的にはデジタルが新たな学習体験を生み、学習の在り方自体が変わるかもしれません。

オフラインデータのまとめ

本稿ではオフラインデータとして『ONLINE EDUCATION IN INDIA: 2021』を用いました。以下はオフラインデータによる市場概況のまとめです。

  • エドテック市場は2016年から2021年にかけて、年平均52%の割合で成長し、市場規模は2.5億米ドルから19.6億米ドルまで拡大する
  • 年平均成長率が64%と予測されている「オンラインテスト対策市場」は、エドテック市場全体におけるシェアも5年間で17%から26%まで拡大する
  • 2021年に向けて、「オンラインテスト対策市場」は「tier2及びtier3」と呼ばれる発展途上の都市で勢力を伸ばす
  • 将来的には、「ビジネスモデルの変容」「オンラインでの生涯学習」「ゲーミフィケーション」「高度なテクノロジー」が教育をより豊かなものにする

では実際に、市場規模の拡大に相関して、ユーザーのエドテック活用は増しているのでしょうか?

マーケットインテリジェンスSimilarWebのデータを駆使し、オンライン上におけるエドテック市場の詳細を調査していきます。

「P2P×ゲーミフィケーション」が2年で急成長を遂げる

マーケット・インテリジェンスを提供するSimilarWebを用いて、インド教育業界のオンライン上における動向を分析。

業界の定義付けとして、本稿ではSimilarWeb独自のアルゴリズムから抽出した”科学と教育/教育”カテゴリーにおいてインド国内からアクセスされた情報のみを利用します。

※SimilarWebのデータは実データではなく、SimilarWebのアルゴリズムによって集計した類推データになります。そのため、記載されたトラフィック等のデータ数値は実データと異なる可能性がございます。

右肩上がりの流入数、特に上位サイトがシェア拡大

まずはインドにおける教育業界全体へのアクセスを見ます。

SimilarWeb 教育市場

※最新24ヶ月(2017年7月~2019年6月) / 全てのデバイス – 引用元;SimilarWeb

SimilarWeb 教育市場:デバイス割合

※最新24ヶ月(2017年7月~2019年6月) / 全てのデバイス – 引用元;SimilarWeb

教育業界全体のウェブサイトへのアクセスは、過去2年増加の傾向。

アクセス元のデバイスはモバイルが全体の3/4と、高い割合を占めています。

では次に、どのようなWEBサイトが業界の上位を占めているのかを見ていきましょう。

SimilarWeb 教育市場:上位サイト

※最新24ヶ月(2017年7月~2019年6月) / 全てのデバイス – 引用元;SimilarWeb

SimilarWeb 教育市場:上位サイトアクセストレンド

※最新24ヶ月(2017年7月~2019年6月) / 全てのデバイス – 引用元;SimilarWeb

上の表、及びグラフは流入数上位5サイトの教育カテゴリにおけるマーケットシェアと、流入推移を表しています。
5位のscribd.comは横ばいの傾向にありますが、他の4サイトはかなり流入増加の傾向にあると見て取れます。

では、これらの上位サイトはそれぞれどのようなサイトなのでしょうか?

SimilarWeb 教育市場:上位サイトサービス内容

※表:筆者が独自に調査、及び作成

本稿前半で扱ったオフラインデータで、2016年から2021年にかけてエドテック市場内で最も成長すると言われていた「オンラインテスト対策」が4位にランクイン。

また、エドテックの将来像としてキーワードにあがった「P2P」での学習、すなわち学習者間コミュニティも2位にランクインしています。

そこで、2位のbrainly.inを詳しく見ていきます。

【brainly.in】P2P×ゲーミフィケーション

Brainly.inとは?

Brainly.inは、学生や教員のためのソーシャル学習ネットワークです。学習者同士が知識をシェアし合う場となっています。ポイント制度やランキング掲載により学習者の意欲を高めるゲームフィケーションの要素を取り入れ、ユーザーのオンライン学習のエンゲージメントを高めています。

(参照;https://brainly.com/careers/about.html

Brainly.inBrainly.in

brainly.inでは、学習者同士が質問、回答します。質問はタイムライン形式で表示され、良い回答にはポイントが付与されます。

brainly.inはまさに、「P2P(Peer to Peer)」と「ゲーミフィケーション」の要素を持ち合わせた、新しい学習体験を提供。

オフライン調査では、2021年以降のエドテックにこのような要素が見受けられるようになるとありましたが、brainly.inはその先駆者であるといえます。

オンラインデータまとめ

以下、SimilarWebで調査したオンラインデータのまとめです。

  • 教育業界全体へのアクセスは増加の傾向
  • 流入デバイスはモバイルが約3/4と圧倒的に多い
  • 上位5サイト中4サイトは直近2年間で流入量が急激に増加
  • 上位5サイトに「P2Pネットワーク」「オンラインテスト対策」がランクイン
  • 2位ランクインの「brainly.in」は「P2P」「ゲーミフィケーション」のエドテックキートレンドを抑えたサービス

まとめ

本稿では、KPMGインド社とGoogle社が2017年5月に共同公開したレポート『ONLINE EDUCATION IN INDIA: 2021』によるオフラインデータ、そしてマーケット・インテリジェンス・プラットフォームSimilarWebによるオンラインデータの二つのデータをかけ合わせ、インドにおけるエドテック市場を調査しました。

以下は本稿のまとめです。

  • エドテック市場は2017年から2021年にかけて、年平均52%の割合で成長し、市場規模は2.5億米ドルから19.6億米ドルまで拡大する
  • 年平均成長率が64%と予測されている「オンラインテスト対策市場」は、エドテック市場全体におけるシェアも5年間で17%から26%まで拡大する
  • 2021年に向けて、「オンラインテスト対策市場」は「tier2及びtier3」と呼ばれる発展途上の都市で勢力を伸ばす
  • 将来的には、「ビジネスモデルの変容」「オンラインでの生涯学習」「新たな学習コンセプト」「高度なテクノロジー」が教育をより豊かなものにする
  • 教育業界全体へのアクセスは増加の傾向
  • 流入デバイスはモバイルが約3/4と圧倒的に多い
  • 上位5サイト中4サイトは直近2年間で流入量が急激に増加
  • 上位5サイトに「P2Pネットワーク」「オンラインテスト対策」がランクイン
  • 2位ランクインの「brainly.in」は「P2P」「ゲーミフィケーション」のエドテックキートレンドを抑えたサービス

IT大国だからこそ、大規模な拡大が予測されるインドのエドテック市場。

SankeiBizは2024年にインドの人口は14億4000万人となり、中国を追い抜き世界首位になると報じています。

エドテックは、さらなる人口増加が見込まれているインドにおいて、重要な役割を果たすでしょう。

今後、テクノロジーが教育業界をどのように先導していくのか、注目です。

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