【目次】
2019年10月24日、SimilarWebによって虎ノ門ヒルズにて催されたマーケット・インテリジェンス・サミット 東京。
本イベントでは、下記の豪華な方々に登壇いたただきました。
基調講演登壇者
- 経済産業省 高木美香氏
- グランドデザイン株式会社 小川和也氏
- アタラ合同会社 杉原剛氏
- 大日本印刷株式会社 加藤綱貴氏
- ヤマハ株式会社 濱崎司氏
「これからの5年でビジネス環境は激変する」――グランドデザイン株式会社の小川和也氏はそう語りました。
今やビジネスシーンで避けて通れない「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。
目まぐるしい速度でなされるデジタルシフトに、マーケット・インテリジェンスはどのように活かされるのか?
年に一度の祭典を、本稿にまとめました。
マーケット・インテリジェンスが意思決定を最適化する
イベント当日はイスラエルのSimilarWebより経営陣が東京に集結。
- SimilarWeb CEO Or Offer
- SimilarWeb CPO Benjamin Seror
- SimilarWeb Solution Business Manager Adi Sarig
- SimilarWeb CRO Carrie Lazorchak
マーケット・インテリジェンスは、どのようにビジネスで役立つのか?その真髄を語りました。
業界で「勝つ」ためにCEOが知るべきインサイト
- SimilarWeb CEO Or Offer
「マーケット・インテリジェンスを使えば、あらゆる市場を突破できる。」
マーケット・インテリジェンスが秘める破壊的な可能性を強く確信しているのは、まさしくSimilarWeb のCEO Or Offer氏。
同氏は、その確信を裏付けるひとつの解析例を提示した。
「Similarwebで直近3年間のEコマース業界3社のトラフィック増加率を比較してみると――
」AliExpressといえば、アリババグループが所有する中国拠点のオンライン小売サービス。
同氏はAliExpressの圧倒的な成長要因をSimilarWebで探ったところ、3つのプラットフォーム戦略が浮き彫りになったという。
- 自社の成長を買う
- 力を借りる~パートナーとアフィリエイトの活用~
- 顧客の購買トレンド知る
「同社はPPC広告とディスプレイ広告に投資していることが、SimilarWebの調査でわかった。」
AliExpressはまず、予算をWeb広告に大量投下。これにより、ダイレクトチャネルからの同社へのアクセスが増加し、結果的にこの戦略が”認知拡大”へと繋がります。
「また、アフィリエイトからの流入が400%増し、クリック数が月々30万回から最大1300万回まで伸びていたことを見つけました。」
「そして、同社は売れている商品から顧客の購買トレンドをしっかりと掴んでいることが判明した。」
AliExpressはWeb広告に加え、アフィリエイトを活用することで流入を確保。
加えて、AliExpressは市場における検索キーワードの動向を分析し、今、顧客が何を求めているのかを解析し、着実に自社のマーケティングに転用したと言う。
広告で自社の成長を買い、アフィリエイトのサポートを受け、顧客インサイトの抽出から着実に顧客へリーチする。これにより、AliExpressは103%もの急成長を遂げた。
「SimilarWebを使うと、このように急成長企業がなぜ成功しているのか解読することもできます。」
集客施策から顧客インサイト。これら全てを一つのプラットフォームで明らかにすることで、自社の意思決定に活かすことができる。
デジタルシフトが進み、市場には常に競合や、ITを強みにした新規参入業者が突如現れる難しい時代に入っている。
この混沌とした時代を生き抜くべく、SimilarWeb CEO Or Offerはお客様へ全力でサポートすることの誓い、そして意気込みと共に壇上を降りた。
「SimilarWebはこれからも、みなさまの最適な意思決定をサポートできるインサイトを提供していきます。マーケット・インテリジェンスを活用し、あらゆる市場を突破して行きましょう。」
マーケット・インテリジェンスの展望
- SimilarWeb CPO Benjamin Seror
- SimilarWeb Solution Business Manager Adi Sarig
「SimilarWebはどの国においても、デジタル資産とパフォーマンスの評価が可能です。会社のゴールである意思決定プロセスにおける死角を失くすことができます。」
SimilarWeb においてChief Product officer(最高製品責任者)を務めるBenjamin Seror氏。
SimilarWebのソリューションは大きく3つに分かれる。
- Marketing & Reserch
- Sales
- Investors
中でも、同氏はアメリカのある企業がSimilarWebの”Investors Solution”を活用し、決算報告前のNetfiixの業績予測を行い、投資判断に活かした事例を公開した。
「デジタルデータによって、より良い投資判断を可能にします。アメリカのある企業では、業績発表前にNetflixの業績予測をSimilarWebで行い、投資判断を実施しました。誰よりも早く、最適な投資判断をできることは素晴らしいことだと思いませんか。」
また、SimilarWeb Solution Business Manager のAdi Sarigは、SimilarWebを支える4つの柱について解説した。
「1つ目は、最も信頼のおけるデータ。パネル数は年々増加し、AI技術を基盤とした製品アルゴリズムの改善を常時行なっています。」
「2つ目。インサイトへの最短距離です。1つのプラットフォーム上で迅速に競合のパフォーマンスを確認し、どこで勝っている、負けているのかを判断できます。」
「3つ目は、アクションをドライブすること。以前と今のパフォーマンス比較だけでなく、先読みできる機能を作りました。これにより、収益の最適化を図れます。」
「最後に、分析フレキシビリティの最適化です。組織構造やビジネスモデルは業界、企業によって異なってくるため、これらを最適化できる仕組みを構築しました。」
市場/競合調査において有名なSimilarWebだが、近年では金融機関におけるデュー・デリジェンスや様々な業界の営業におけるリスト生成から提案資料と、活用方法やユーザーの業界も多岐にわたる。
1つのプラットフォームで、これだけ広範囲のビジネスをカバーできるのは稀有だ。
SimilarWebはありとあらゆる業界で、SimilarWebで意思決定プロセスの死角を失くすことができる。
マーケット・インテリジェンスを活用した顧客のライフタイム・バリュー創造
- SimilarWeb CRO Carrie Lazorchak
「マーケット・インテリジェンスは主に誰が使うのか?――マーケットリサーチャー、セールス、投資家の3者です。今日、わたしは”セールス”向けの使い方に着目してお話します。」
SimilarWeb においてChief Revenue officer(最高売上責任者)を務めるCarrie lazorchak氏は「顧客ライフサイクル」を以下の流れで定義した。
- 獲得
- アクティベーション
- 定着
これらの各ステージに適切なマーケット・インテリジェンスのデータを見極め、ライフタイムバリュー(LTV)の向上に繋げることが大切だという。
さらに同氏は、見落とされがちな「顧客リレーションシップ構築」の重要性についても言及した。
”セールスマンが一方的に自社のプロダクトについて語り、先方は全く耳を貸さない”というショートストーリーを流し、”セールスのありがちな間違い”を指摘した。
プロダクトの価値を一方的に訴求するやり方はもう通用しない時代である。
「見込み客に対していかにパーソナライズしコンタクトを取るか」が要となる。
製品説明ではなく、「インサイトを提供し、バリューを説明し、どれほどのROIを得られるのかを示すこと」が顧客との長期的な関係性を良好なものにするのだ。
「マーケット・インテリジェンスを使うと売上が上がり、お客様にとって信頼できるパートナーになることができます。まず一つ、戦術を実施し、計測してみてください。売上が上がるか、新規顧客獲得ができるかと思います。」
信頼のおけるパートナーの獲得に、マーケット・インテリジェンスを欠かすことはできない。
そして顧客と”良い関係性”を維持することこそが、顧客のライフタイムバリュー(LTV)を向上させるのである。
基調講演
『コンテンツの時代』における日本の戦略と政策
- 経済産業省 高木美香氏
「遡れば、昔はメディアの時代であった。各コンテンツには、それぞれ必要なメディアがあった。それが今、この”コンテンツの時代”においてはすべてがスマートフォン等のデバイスに集約されるようになった。」
経済産業省の高木美香氏は「コンテンツの時代」の到来を弁じた。
コンテンツの時代、それはコンテンツ同士が人々の可処分時間を奪いあう時代。
そんな風潮のなか、同氏は日本が取るべき戦略・政策として「デジタル経営改革と市場規模の拡大」を掲げる。
「日本のコンテンツがグローバルな競争環境のなかで生き残り、クリエイターがコンテンツを継続的に創造できるようにしなければならない。」
日本には、魅力的なコンテンツで溢れている。
けれども、届かない、作成者へのリターンも少ない、コンテンツの形や常識が変わる…様々な課題がある中、同氏はバリューチェーンを筆頭に、デジタル技術を応用した戦略を構築。
魅力的な日本のコンテンツを世界に拡大すべく図った同氏の戦略に、注目が集まった。
こちらの内容は非公開となっております。事例詳細に関しましてはお手数ですがこちらまでお問い合わせ下さいませ。
市場創造のためのactionable志向
- グランドデザイン株式会社 小川和也氏
「日本という国土の特性上、我々はまだまだ実店舗で買い物をしがちである。そして、そのうち7割もの購買が”非計画”なものである。」
かつて、クーポンといえば不特定多数にバラ撒かれるだけのものであったが、一様に配られていたクーポンは今、パーソナライズされるようになった。
その結果、顧客の来店頻度は増し、客単価も上昇した。
「既存のビジネスモデルは終わりを迎えている。今必要なのは、”市場創造技術”である。」
テクノロジーの進展により、激変の最中にあるビジネス環境。かつてのビジネスのやり方ではもう通用しない。
「市場創造には生産予測が必要であり、生産予測には需要予測が必要である。」
データをもとにしたactionable志向によって市場は創造され、デジタルトランスフォーメーションの時代を乗り越えられるのだ。
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企業のDXを加速するマーケット・インテリジェンスとダッシュボード活用
- アタラ合同会社 杉原剛氏
「システムが刷新されるまで待っていてはいけない。今すぐに始めなくてはならないのだ。」
日本の企業のデジタルトランスフォーメーションへの取り組みについて警鐘を鳴らしたのはアタラ合同会社の杉原氏だった。
同氏はITシステムの”2025年の壁”を言及し、ダッシュボードプラットフォームの必要性について説いた。
「企業のDXが進まない原因の根幹にあるのが何十年も延命している”レガシーシステム”。継ぎ接ぎで使っているがために柔軟性がなくスピードも追いついていない。」
「スパッとした意思決定が求められるこの時代において、データを可視化させることが重要。データという共通言語によって、組織の方向性が揃うのだ。」
同氏はSimilarWebのデータとBIを掛け合わせた分析手法を提案。
データに溢れ、これが逆に意思決定スピードを鈍らせている昨今においては、どのデータを使うかだけでなく、どのように整理して使うか、このスキルが求められているのかもしれない。
こちらの内容は非公開となっております。事例詳細に関しましてはお手数ですがこちらまでお問い合わせ下さいませ。
明治創業の会社が令和の顧客デジタルシフトをどう支援していくか
- 大日本印刷株式会社 加藤綱貴氏
「我々の創業は明治時代にも遡る。あれから4度もの改元を経た。その間、紙の需要はみるみる減少した。」
活版印刷業を起点に創業した大日本印刷株式会社は、印刷から派生したデジタル技術をもとに提供する製品・サービスの幅を大きく拡張した。
「駅ナカで『Ki-Re-i』という証明写真機を見かけたことはないだろうか?」
同社が打ち出すこの写真機は、ICチップに特徴点などの顔情報を格納することで”証明写真をスマホに保存”することができるのだ。
アナログの代表格である「紙」。デジタルシフトが急速に進むなか、日本を代表する印刷会社は令和の時代をどのようにくぐり抜けて行くのだろうか?
加藤氏は「デジタルとアナログの融合」に有効性を見出していると話す。
実際に、ユーザーのメール開封率について調査したところ、紙DMの効果的な使用はEメールよりも効果的なエンゲージメントが得られることを示したという。
我々の生活もいよいよデジタルとは切り離せないものになってきたが、「デジタル×アナログの領域」に新たな可能性が隠されているのかもしれない。
一体、どのような融合を果たしているのだろうか。
“Journey365″~「LifeStyle」から見えた「未知」への挑戦~
- ヤマハ株式会社 濱崎司氏
「WEBもSNSも”人起点”である。だから、それらの分析は人々の欲求を探る上で”最強”である。」
マーケット・インテリジェンスを活用する以前、戦略を戦術に落とし込む際に有効なデータがなかった。
アンケートやインタビューなど、独自調査を手掛けるものの、莫大なコストがかかる割に調査のクオリティには格差が生じた。
世の中が大きく変わった10年である。
「バリューチェーン」や「コアコンピタンス」を重視する”企業目線”なマーケティングは、「カスタマージャーニー」を意識した”消費者目線”のものへと変化した。
消費者のインサイト、つまり「欲求」を探る有効な手法がマーケット・インテリジェンスを使った「サーチキーワードアナリシス」。
「みなさんの欲求が検索キーワードに現れ、その感情がSNSに現れるのです。」
濱崎氏は”言葉を通じて消費者の感情を把握できる時代”になったと語る。
まとめ
今年で4年目を迎える、マーケット・インテリジェンス・サミット 東京。今回も世界に名を馳せる企業の方々にご講演いただきました。
本講演全体を通して感じられたのは、「デジタルトランスフォーメーション(DX)の波は我々を待っていてはくれない」ということ。
今日もまた、ビジネス環境は着々と変化しています。
既存のやり方にぶら下がって変化をただ眺めていては、近いうちに波に飲み込まれてしまうでしょう。
積極的でスピーディー且つ柔軟に対応する姿勢こそが、市場で生き残る鍵。市場突破を図る全ての人に、SimilarWebはマーケット・インテリジェンスを提供し続けます。
昨年の講演内容はこちら

Nao Shibata

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