アジア主要航空会社の相次ぐ悲惨な航空機事故、乗客の「信頼」はどう揺らぐ

皆さんは航空会社を選ぶとき、何を基準にしていますか?

海外旅行がより身近になり、年々増えるLCCも含め航空会社の選択肢はますます増えています。航空会社を選ぶとき、サービス・価格も大切ですが、やはり「安全・信頼性」を重要視する方が多いのではないでしょうか。

そんな中、昨年から相次ぐアジアの主要な航空会社の悲惨な航空機事故。これらの事故は乗客にどの様に捉えられ、航空会社に対する「信頼」にどの程度の影響を与えたのでしょうか?

今回は、競合分析ツールSimilarWeb PRO(シミラーウェブプロ)を使い、2014/15年に起きた大規模な航空機事故を引き起こした、航空会社のオフィシャルサイトへのトラフィックデータを分析しました。

目次

  1. 2014/15年に起きた大規模な航空機事故
  2. 航空会社オフィシャルサイトの訪問者数
  3. マレーシア航空オフィシャルサイトへの訪問

1.2014/15年に起きた大規模な航空機事故

ここでは全ては取り上げませんが、アジアの主要な航空会社による航空機事故を中心に、今回の分析対象とする航空会社による航空事故を振り返ります。

2014年3月 マレーシア航空370便 墜落事故

マレーシアのクアラルンプールから中華人民共和国の北京市に向かっていたマレーシア航空の定期旅客便であるマレーシア航空370便が2014年3月8日頃、海上で墜落した事故。

引用元:Wikipedia

事故一年以上経った今も乗客・乗員227人の行方は分かっておらず、墜落の原因も特定されないままの事故。先月インド洋上のレユニオン島で同機の残骸の一部が見つかったこともあり、みなさんの記憶にも新しいのではないでしょうか。

2014年7月 マレーシア航空17便 撃墜事故

オランダ・スキポール空港からマレーシア・クアラルンプール国際空港に向かっていたマレーシア航空の定期旅客便であるマレーシア航空17便が、巡航飛行中の17時15分頃に撃墜され、ウクライナ・ドネツィク州グラボヴォ村に墜落した航空事故。

引用元:Wikipedia

乗客・乗員283人全員が犠牲になった事故。紛争が続くウクライナ上空をなぜ飛行していたのか?マレーシア航空にとって370便墜落事故からたった数ヶ月後に起きた二度目の悲劇は、様々な論争を巻き起こしました。

2014年7月 トランスアジア航空222便着陸失敗事故

台湾南部の高雄国際空港発、澎湖島馬公空港行きの定期旅客便トランスアジア航空222便が、台風10号による天候不良の影響を受け馬公空港にて着陸を失敗、復行を試みたが上昇できず、澎湖県湖西郷西溪村に墜落した事故。乗客54名、乗員4名のうち、49名の死亡が確認された。

引用元:Wikipedia

2014年12月 エアアジア8501便墜落事故

インドネシアのジャワ島東部、スラバヤにあるジュアンダ国際空港を出発しシンガポールのチャンギ国際空港に向かって飛行していたインドネシア・エアアジア8501便が消息を絶ち、その後の捜索で墜落が確認された。

引用元:Wikipedia

マレーシア航空370便、17便に続く、乗客乗員162人全員が犠牲になる大惨事となりました。事故の原因は悪天候ではないかいう見解が発表されています。

2015年2月 トランスアジア航空235便墜落事故

台湾北部の台北松山空港発、金門島の金門空港行きのトランスアジア航空235便のエンジンが離陸直後に故障したことが原因で、台北市南港区と新北市汐止区の境界をなす基隆河の水上に墜落した事故である。2月12日時点の報道によれば乗客53名、乗員5名のうち、生存者15名、43名の死亡が確認された。

引用元:Wikipedia

墜落途中の同機が基隆河沿いの高速道路の真上と通過し、走行中の車と接触する瞬間が撮影されており、ニュースで映像を見た方も多いのではないでしょうか。

2.航空会社オフィシャルサイトの訪問者数

訪問者数の推移から見る、乗客の「信頼」への影響

次に、上記で取り上げた各航空会社のオフィシャルサイトを対象に、サイト訪問者数の推移を分析します。

※オンラインの航空券検索・予約サイトで航空券を買われる方も多いと思いますが、今回は、①航空会社に対するロイヤリティをより反映すると考えられ、②訪問者に航空券購入済の乗客が含まれる可能性が高いオフィシャルサイトのみを対象にしました。

▼分析概要
使用ツール:SimilarWebPRO
データ計測期間:2013年8月1日~2015年7月31日(2年間)
* “i”マークはアルゴリズム変更を示す(算出値の差異は、変更月の差異を参考)

マレーシア航空: malaysiaairlines.com

Malaysia Airline Visits

2度の悲惨な事故が6ヶ月以内に発生したマレーシア航空。特に370便墜落事故の発生月には、サイトへの訪問者数が急激に増加しています。これは、航空機が失踪し事故の原因も分からない中、多くのニュースメディアに取り上げられ注目を集めたこと、またオフィシャルサイトでのプレスリリースが随時確認されていたことが理由と推測できます。

ただし、2度の事故発生後にも、訪問者数には多少の減少しか見られません。事故以前から厳しい経営状況が続き、事故直後には株価が一時急降下するなど経営難が心配される中、マレーシアのフラッグ・キャリアは、まだ乗客の「信頼」を完全に失っていないのかもしれません。

トランスアジア航空: tna.com.tw

TransAsia Visits

222便着陸失敗事故の発生月に一時的に訪問者数が増加した後、一気に事故前よりも減少しています。1度目の事故の後少しずつ持ち直すものの、2度目の事故の後は、事故前の水準を大きく下回り推移しています。事故の原因が人為的ミスによるところが大きかった点が、乗客の「信頼」喪失につながったのでしょうか。

エアアジア航空: airasia.com

AirAsia Visits

今回取り上げている航空会社の中では、唯一のLCC(格安航空会社)であるマレーシアの航空会社です。訪問者数の推移で気になる点は、事故の発生月に増加が見られないこと、また、事故発生後の2ヶ月は減少が見られるもののすぐに持ち直し、以降は事故前と余り変わらない水準で推移していることです。

これは、航空機事故に遭う確率は非常に低いという一般的見解をふまえ、悪天候が原因と思われる事故が2度は続いていないこと、また、LCCを利用する乗客がデメリットは割り切りコストを重要視する傾向があるからではないかと考えられます。

3.マレーシア航空オフィシャルサイトへの訪問

次は対象をマレーシア航空に絞り、オフィシャルサイトへのトラフィックデータを分析することにより、大規模な航空機事故(370便墜落)によるサイトトラフィックへの影響、および訪問ユーザ像を探りました。

▼分析概要
使用ツール:SimilarWebPRO
データ計測期間1:2014年3月1日~2014年3月31日
データ計測期間2:2014年2月1日~2014年2月28日

流入データの前月比較から見る、事故の影響

流入経路:3月

Malaysia Airline Traffic

vs. 流入経路:2月

Malaysia Airline Traffic2

事故前後で最も変化率が高いのは、ソーシャルメディアを通じた流入です。これは、大きく取り上げられていた事故のニュースがソーシャルメディアを通じても拡散され、オフィシャルサイトへの流入を増やしたと考えられます。

リファラーとなるサイトのカテゴリー分布:3月

Malaysia Airline Referral

vs. リファラーとなるサイトのカテゴリー分布:2月

Malaysia Airline Referral2

事故前後で大きくカテゴリーが異なっており、通常はトラベルサイトからの流入が多い中、事故発生後はニュース・メディアのサイトからの流入が半数を超えています。事故直後に急激に増えたサイト訪問者数は、ニュースの拡散によるものだからでしょう。

ユーザの興味から推測する、ユーザ像

同時に訪問したサイトのトピックス分類

Malaysia Airline Interest

“トラベル”、”予約”、”国際航空会社”、”xx月”、”子供”といったキーワードから、事故直後にサイトを訪問していたユーザは、同時に旅行関連サイトを訪問していたことが分かります。事故のニュースを見た後、マレーシア航空のオフィシャルサイトを訪問したユーザは、具体的に旅行を予約する予定 / していた乗客であった可能性が考えられるのではないでしょうか。

まとめ

昨年から相次いだ大規模な航空機事故。しかし、それらの事故がもたらす乗客の「信頼」への影響は、事故の原因や頻度、また航空会社を選ぶ乗客の優先度により異なるようでした。今回は調査しませんでしたが、この様な航空機事故は、一時的であっても旅行業界にまでも影響を与えるのではないでしょうか。

何よりも、この様な悲惨な事故が二度と起きないことを、安全な”空の旅”が常に実現されることを祈ります。

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藤井 沙知

CX Consultant株式会社ギャプライズ
外資系コンサルティングファームにて、企業の経営統合(PMI)やERP導入プロジェクトに従事。国際協力NGOでのインターンを経て、2015年5月に株式会社ギャプライズに入社。現在は、マーケティングから分析・コンサルティングまで、幅広い業務に携わる。2011年、ビンガムトン大学政治学部卒。英語・スペイン語・関西弁のトライリンガル

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