【目次】
検索語の分析からユーザーインサイトの多くがわかる
Webデータの分析項目がいつくかある中で重要なひとつが「検索からの来訪≒検索語分析」と言えます。
検索対策というと、ネットマーケティング系の方の中には「SEO対策」「リスティング広告のCPA改善」とイメージされる方もいらっしゃると思いますが、そのような足元施策の前段階であるユーザーインサイトの分析としても大いに活用できのが検索語分析です。
例えば、以下のようなユーザーインサイトにまつわる多くのことがわかるのです。
- ブランド認知度
- ブランド好意度
- 人気商品
- ユーザーの悩み(探していること)
Googleのセキュリティ強化策の影響で、アクセス解析によるnot provided化(キーワード分析ができない)が進む検索キーワード分析ですが、SimilarWebはその影響がなく結果的に検索キーワードの分析が充実しているのもSimilarWebの大きな特徴となりました。
*参照: Googleアナリティクスの (not provided) の意味と7つの対策まとめ【2015年最新版】
検索語分析はSimilarWebのダッシュボード画面をそのまま見ても大きな傾向はつかめますが、今回はもう少し踏み込んだ検索語の分析手法をご紹介します。
▲検索語分析画面(「ウェブサイト分析」 > 「トラフィックソース」 >「検索」)
【検索来訪の分析ケーススタディ】ツアー会社を比較分析「探すところ」はJTB、「買うところ」はH.I.S
分析手法を紹介する前に、今回紹介する手法を使った分析をツアー会社上位3社をサンプルとして比較調査してみます。
調査したサイトは以下の3社。
- H.I.S.(http://www.his-j.com/)
- JTB(http://www.jtb.co.jp/)
- 日本旅行(NTA)(http://www.nta.co.jp/)
※サブドメインは含みますが、別ドメインは含みません。
そして、以下の図が3社の検索語をブランドワード、チャネルワード、テールワードの3種類に分けて分析したものです。
※ブランドワード:主に社名/チャネルワード:店舗や営業時間/テールワード:主に旅先の地域名(方面)
検索来訪数自体はH.I.SとJTBが拮抗していますが、検索語の傾向に違いが見えます。まず、図左のテールワードからの流入はJTBが抜きんでています。おそらくどの検索語でも両社は検索結果の1ページ目に表示されることが多いため、SEOの効果というよりは、「旅行と言えばJTB=検索結果一覧表示からJTBがクリックされる」というユーザーのマインドシェアが高いのだと思います。検索語も多数獲得しています。
次に、図右のブランドワードを見てみると、H.I.Sが逆転しています。仮説ですが、セール(≒安売り)訴求を広告で積極的に行っているH.I.Sなので、「買うなら安いH.I.S」というユーザーのマインドシェアが高く、結果、指名検索数が伸びているのではないでしょうか。
『探す=検討層』の獲得に力を入れるのか、『買う=顕在層』の獲得に力を入れるのかというのは企業戦略によりますので、この結果での良し悪しの判断はできませんが、ユーザーから見た両社のブランド価値を知るひとつの参考材料になると思います。
※「検索語」について
「検索語句」「検索クエリ」と同意語。SimilarWebではこれを「検索語」としています。AdWordsの説明によると、ユーザーが検索時に入力したものを「検索語句」といい、広告主が広告に指定した単語を「検索キーワード」と言うように言葉の使い方を分類しています。
流入対策で最も重要な「検索来訪」
ほとんどのWebサイトにおいて、検索からの来訪は最も多い流入経路であり、そのうちの9割以上は自然検索からの来訪です。検索、特に自然検索の来訪をつかむことはWebマーケティングにおいて重要なテーマと言えます。
以下は、主なコンシューマ向け業界の流入割合を表で示したものですが、検索からの流入がどの業界でも多くを占めるものだとわかります。
※SimirarWebPROの業界分析では、各業界の傾向値を分析することができます
また、他の流入経路とは異なり、ユーザー自身が「何を目的に来訪したか」が検索語として明らかであり、この分析ができる点も、マーケティングの視点から見て重要度の高いテーマであると考えます。
SimilarWebでの、一歩踏み込んだ検索来訪分析の方法
今回ご紹介するのは、以下のような方法での検索分析です。
- キーワードをテーマごとにカテゴリで分類する
- 検索語の調査結果をダウンロードして集計する
- 集計結果はエクセルで集約して分析する
下記は、私が検索語を分類するときに活用しているロジックツリーです。本日はこのロジックを前提に集計/分析します。
検索キーワード分析の5ステップ
作業の手順は下記5ステップです。
はじめての時など、なれない時は1時間くらいかかるかもしれませんが、数回も作業すると30分程度で完了できるような内容です。
- 期間を設定して検索を開く
- エクセルにダウンロード
- 通し番号(ランキング)を振る
- ブランドワード、チャネルワード、テールワード、で分類する。
- エクセルに数値を入力してグラフで表示
期間を設定して検索を開く
まずはウェブサイト分析の画面で、分析したい期間を設定します。
そして、「検索」を選択
季節要因で検索ワードが異なってくるため、複数月をまとめずに、単月ごとに集計する方が正確です。
あまり季節要因がなく、アウトラインをつかむことが目的の場合は、直近3ヶ月(Last 3 months)や直近6ヶ月(Last 6 months)の単位で集計した方が時間短縮になります。
エクセルにダウンロード
次に「エクセル形式でダウンロード」します。検索語リストの右のほうにあるエクセルのアイコンをクリックすることでダウンロードすることができます。
キーワードの量が多い場合にはダウンロードに時間がかかりますのでご注意ください。フリーズかどうかはブラウザの読み込み表示で確認しながらすすめると良いと思います。
通し番号(ランキング)を振る
エクセルでのダウンロードが終わったら、各検索語に「通し番号」を振りましょう。
これは私独自の作法なのですが、エクセルでデータを使った作業をするときは、必ず左端に列を追加して通し番号を振りましょう。並べ替えなどを行って後にデフォルトに戻しやすい。並べ替えた後でもランキングがわかり、俯瞰してデータを見るのに便利だからです。
ブランドワード、チャネルワード、テールワード、で分類する。
ここから各キーワードを3種類に分類する作業です。
列を追加して、分類するワードごとにフラグを振ります。例えば以下のようにします。
- ブランドワード
- チャネルワード
- テールワード
フラグはわかりやすいものが良いですが、並べ替えの利便性を考慮すると、1、2、3、、、などの数字や、a、b、c、、、などのアルファベットを、優先順位を付けて設定することがおすすめです。
分類したら、以下の値を算出します。
- 分類ごとにアクセスシェアの値の合計
- 分類ごとに検索語数の合計
アクセスシェア合計は「SUM関数」で集計を行います。
検索語数の合計算出は、検索語を囲い右下の合計値を参照しましょう。
エクセルに数値を入力してグラフで表示。
最後にグラフ作成を行うため、以下のように数値を入力していきます。
SimilarWebは検索語ごとの来訪数はダッシュボード上に集計表示されない仕様となっていますので、検索来訪数×各検索語のアクセスシェア、で逆引き算出します。そのために上記のようなエクセルの集計表を作成しておき、ここに調査した数値を入力していきます。全体を俯瞰するためにも、左端には来訪数全体の数値を記載しておくと、分析のミスリードを防ぎます。
参考までに、上記エクセルフォーマットの計算式をご紹介します。ご自分の使いやすいフォーマットをご用意頂くことをお勧めします。
まとめ
SimilaeWebなどのツールを使う場合、一般的にはダッシュボード上に整理された情報を見るにとどまることが多いと思います。
ツールのダッシュボードの目的の多くは「細目データを確認する」事ではなく「マーケッターがアウトラインをつかみ、いかに課題を見つけやすいか」を目指して作られていることが多く、結果的にある情報は絞られていたり、集約されていたりします。
しかし、ある特定の課題を見つけたい時に、そのための集約がダッシュボードに用意されていないことも多く、そういう時のために今回のようにローデーターから自分で集計するスキルを身につけておくと役立つと思います。
また、こういうスキルは体系化(=汎用化)が進むほど課題を見つけやすく、人にも伝わりやすくなると個人的に思います。ご自分でフォーマットを作られた際には、是非積極的に周囲の方にその方法論をシェアし、フィードバックを受けながら体系化されることをお勧めします。
最後に、今回のように3カテゴリーに検索来訪を分類した場合に、各ワードごとに打つべき対策の個人的な考えをご紹介します。
SimilarWebはIP除外していないために、内部アクセス数も計測してしまいますので、実際のマーケティングに実数として使うには注意が必要です。しかし、同一条件で比較することを前提として、相対比較ができる点に注目すれば、アクセス解析とは違う視点での分析ができると考えています。
特に、該当業界の方からすると、「こういう視点で見た方が良い」「ミスリードしているのではないか」などのご意見もあるかもしれませんので、その場合はできましたら是非、ご意見お寄せ頂ければ幸いです。
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中川 太

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