AmazonがSouq.comを買収 その背景とは?

Souq.comは、「中東のAmazon」と呼ばれているアラブ世界最大のECサイトであり、ひと月に平均3,900万件以上のトラフィックを得ています。

Souq.comは2005年に maktoob.com(後に Yahoo!により買収された)内のオークションサイトとしてサービスを開始した後2011年にショッピングサイトとなり、直近の決算期である2016年2月には42,500万ドルの収益をあげました。

最近行われたAmazonによるSouq.comの買収を受けて、SimilarWeb PROによりSouq.comのコアマーケットにおけるデジタル戦略の動きを分析し、買収に至った背景を解明して行きます。

トラフィック&エンゲージメント

2016年を通してSouq.comは平均して月に3,900万件の訪問を得ており、そのうち68%がデスクトップからの流入でした。

この数字は2015年2月と比べて21%増加しています。

一年間のSouq.comへのトラフィックのうち、エジプトからのものが最も多く47%を占めました。

次いで、22%を記録したアラブ首長国連邦とサウジアラビアからのトラフィックが多くなっています。

トラフィック量で見ると明らかにエジプトは抜きんでていますが、SimilarWeb PROの分析ではトラフィックの質も詳細に調べることができます。

このグラフを見ると、エジプトからのトラフィックは量は多いものの直帰率が64.8%でありエンゲージメントは最も低いことがわかります。

一方でアラブ首長国連邦からのトラフィックは、直帰率わずか37.3%と最もエンゲージメントが高いです。

さらに時期ごとのサイトトラフィックを見ると、エジプトのトラフィックシェアは一年間で半減していますが、アラブ首長国連邦は17ポイント増加しており2017年1月には初めてエジプトを超えています。

マーケットシェア

エジプトとアラブ首長国連邦ではSouq.comは最も人気なショッピングサイトであり、サウジアラビアではamazon.comに次いで二番目に人気となっています。

下のグラフは、過去2年間の各国における人気なショッピングサイト上位10サイトの変化を表しています。

過去2年間でSouq.comは、エジプトとアラブ首長国連邦でのシェアをそれぞれ4ポイントと9ポイント増やしました。

しかし同時に、amazon.comのトラフィックシェアもそれぞれ7ポイントと6ポイント増えていることがわかります。

反対に、2015年には人気だったaliexpress.comは2017年にはエジプトで22ポイント、アラブ首長国連邦で23ポイント減少しています。

さらにグラフ内の10サイトのうち上位5サイトのみで全トラフィックの90%を占めており、マーケットが集中化していることが分かります。

この状況はマーケットとして、新しくパートナーシップを結ぶことで地盤を固める企業も出てき得るものであると言えます。

しかしながら、サウジアラビアは違う傾向を示しています。

Souq.comは2年間でシェアが7ポイント減少している一方で、amazon.comは12ポイント増加しておりサウジアラビアではSouq.comのシェアを超えています。

また、2015年にはトラフィックシェアが少なかったwadi.comjarir.comも2017年には大きく増加しています。

この状況はマーケットとして、新しくパートナーシップを結ぶことで地盤を固める企業も出てき得るものであると言えます。

トラフィックソース

このグラフから、ここ一年間におけるSouq.comとamazon.comのデジタルマーケティング戦略の違いがわかります。

amazon.comは質の高いソースから多くトラフィックを集めており、ダイレクト・リファラル・自然検索によるトラフィックはSouq.comよりも多くなっている一方で、Souq.comはディスプレイ広告とPPCに対して重点的に投資していることが分かります。

amazon.comのトラフィックソースは、おおよそAmazonのグローバルなデジタルマーケティング戦略に即したものです。

しかしSouq.comのディスプレイ広告によるトラフィックの多さは、Souq.comによって支配されているローカルマーケットに合わせてAmazonはデジタルマーケティング戦略を変えなければいけないことを示唆しているのかもしれません。

ホリデーショッピング

2014年にSouq.comはアメリカのホリデーショッピングであるブラックフライデーを、イスラム教において金曜日が聖なる日とされていることに考慮してホワイトフライデーと名前を変えて導入しました。

上のグラフから、過去二年間においてエジプトで「ホワイトフライデー」の人気が高まっていることが分かります。

ホワイトフライデーの訪問数を一年間の平均と比べてみると、2015年のホリデーショッピングにおけるSouq.comへのトラフィックは年平均より31%増加し、2016年にはさらに29%増加しています。

amazon.comを含めた他のショッピングサイトでは、2015年のホワイトフライデーと2016年のホワイトフライデーを比較すると、多くのサイトにおいてトラフィックが減少しています。

唯一jumia.com.egは、2015年と比べて2016年のホワイトフライデーには28.6%トラフィックが増加していますが一年間の平均訪問数は減少しています。

モバイルアプリのパフォーマンス

世界中のユーザーは、日に日にモバイルインターネットに触れる機会が多くなっています。

アラブ首長国連邦には、モバイルインターネットを使用しているアクティブユーザーが727万人います。加えて携帯電話の加入者は2015年だけで21%増加して、いまや人口の76%が使用しています。

このためアプリのパフォーマンスを調べることは、ブランドのパフォーマンスを測る良い指標となります。

しかしこの指標の重要度が増している一方で、これはSouq.comがAmazonより下回っているものの一つでもあります。

Souq.comのアプリのインストール率は過去2年間で平均13.04%ですが、平均インストール率は2年間を通してゆっくりと4%減少しました。

一方で、AmazonのアプリであるAmazonとAmazon Shoppingは、2年間でそれぞれ96%と160%増加しています。それでもAndroidアプリ全体の1.26%と1.97%と比較的低いですが、だんだんと増加しています。

*現在Amazonは「Amazon」(GooglePlayでは使用できない)と「Amazon Shopping」という2つのアプリを運用しています。

さらにインストール率はあまり変わってないものの、Souq.comのアプリにおけるアクティブユーザーは50%近くも減少しています。

反対にAmazonのアプリにおけるアクティブユーザーは3%増加し、直近2か月ではSouqのアクティブユーザー率を超えています。

まとめ

Souq.comは過去6年間において中東のデジタルショッピング業界を発展させ続け、過去2年間には中東の各国で最も人気なショッピングサイトとなりました。

しかしながらEC業界が成長していくに連れて、自社がローカルマーケットで地元の企業と競う一方で、AmazonやAliexpressのような世界的な大きい企業とも競っていることを理解しました。

Souqは極東においては競合サイトを圧倒しましたが、Souqにとって最も大きなマーケットである中東におけるAmazonの存在が大きくなっていき、サウジアラビアではユーザーの多くをAmazonに奪われました。

このことを考慮すると、Souq.comがAmazonからの提案を受け入れようとする理由は明白です。

しかし、Amazonが買収に踏み切った理由を考えるには中東のデジタルショッピング事情に対する深い理解が必用となります。

アラブ首長国連邦の市場参入におけるSouq.comの成果を利用しようとしているとも考えられますが、一方でAmazonは自社のグローバルなデジタルマーケティング戦略を取り続けています。

もしくはSouqに倣い、今までSouqに成功をもたらしてきたディスプレイ広告にAmazonも注力しようとしているのかもしれません。

その他にも、Souqの「ホワイトフライデー」プロモーションを使い、地元のユーザーをホリデーショッピングに獲得しようとしていることも考えられます。

依然として2つの企業のEC事業がどのように合併するかを観察していますが、合併が完全に成されたとき、それぞれの企業のデジタルマーケティング戦略はどのように変化するのかも興味深いです。

著者:ライロン・ハーキム・ボブローフ

ライロン氏はSimilarWebのマーケティングインサイトマネージャーです。休暇には写真を撮ったり、毎週開催されているDIY教室に行ったりしています。

*この記事はSimilarWebのデータを使用しています。文中で取り上げられるデータは統計処理などをおこなった類推データを含みます。また、アプリ分析によるデータはすべてandroidのみのデータであり、iosのデータは含まれておりません。

以上はSimilarWeb公式ブログ”Amazon’s Acquisition of Souq.com: a Digital Strategy Perspective“の翻訳記事です。また、画像はすべて原文より引用したものです。

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宇田 萌人

宇田 萌人

2016年6月より株式会社ギャプライズに長期インターン生として入社。専攻は文芸翻訳。ライター業務に興味を持ち勉強中。

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