【市場調査 in フィリピン】EC業界完全レポート

まずはこちらのニュースをご覧頂きたい。

少し古いニュースだが、中国の持株会社アリババが東南アジアを中心にEC(電子商取引)を展開しているラザダに2100億円の追加投資を行った、という内容。

いま、フィリピンにおけるEC市場の展開が急激に拡充している。

フィリピンにおけるEC市場価値

こちらは2020年に至るまでの、フィリピンにおけるECに関する市場価値を示したもの。

なんと、2020年には約3,300億円(1$=110円換算)の市場価値至ると予想される。

この巨大マーケットで市場席巻を行っているのはAmazonではありません。冒頭で述べたラザダです。

実は、巨大EC AmazonはこのフィリピンECマーケットでシェアを拡大しきれずにいます。

マーケットインテリジェンスツールSimilarWebを使い、いま、フィリピンのECマーケットで何が起こっているのかを解説します。

ラザダの圧倒的シェア率

圧倒的成長率

文頭にて、フィリピンの市場価値を記載した。

これを、日本、そしてアメリカの市場価値または売上規模の成長率を比較してみる。

フィリピン/日本/アメリカにおけるEC市場価値または売上規模

金額でみるとその額はやはり日本、そしてアメリカの方が大きい。(金額の詳細はこちら:日本アメリカ

ここで注目すべきはその市場成長率だ。

日本、アメリカでも上昇トレンドにあるが、フィリピンにおけるその成長スピードは他国を凌駕している。

この急成長マーケットにおいて、どのECがシェアを獲得しているのだろうか。

Amazonのシェアを抑えこむラザダとは。

ラザダ、ショッピー。

日本では中々聞きなれない企業・サービスですが、フィリピンにおいてそのアクセスシェアはあのAmazonに匹敵します。

フィリピンにおけるショッピングカテゴリー:トラフィックシェア

こちらはフィリピンにおける小売ECのカテゴリーシェア率。

日本ではシェア率の高いAmazonでも、フィリピンでは全体の約8%ほど。

巨大EC Amazonを圧倒している、フィリピン国内で最もシェア率の高いサイトは「lazada.com.ph」です。

LAZADAのtop

(画像引用元:https://www.lazada.com.ph/

2011年に設立されたラザダは、フィリピンのEC市場において圧倒的シェアを誇ります。

さらに、フィリピンのみに特化されているわけではなく、他の東南アジア各国でも利用されているECです。

LAZADAのグローバルシェア

新たなECの台頭

さきほどのシェア率の表。これを、シェア率上位5位に絞って表示してみます。

フィリピンにおけるショッピングカテゴリートラフィックシェアtop5

すると、赤色の部分が徐々にシェアを広げてきています。

米国に本社をおくAmazon、そしてアムステルダムに本社をおくOLXと、欧米企業のシェアを徐々に侵食し始めています。

この侵食しつつある赤い部分。これは本社をシンガポールにおくEC事業「ショッピー(shopee.ph)」です。

shopee top

(画像引用元:https://shopee.ph/

2015年創業のアジア企業は、とてつもないスピードでシェアを席巻してきています。

このように、グローバルで高いシェアを誇る欧米企業がシェア獲得を困難とするのが、フィリピンのEC市場の特徴です。

では、この市場における集客チャネル構造はどのようになっているのでしょうか?

Facebookはフィリピンマーケットシェア獲得の鍵となる

他国と比べて多いソーシャルからの流入

フィリピンのEC市場における、直近3ヶ月の集客割合をみてみます。

フィリピンにおけるショッピングカテゴリーのトラフィックソース

ダイレクトの流入が半分を占めています。

これだけだと特徴がわかりにくいので、上記の割合を日本とアメリカを含めた3ヶ国を、同じEC業界で比較してみます。

フィリピンにおけるショッピングカテゴリートラフィックソース:フィリピンvs日本vs U.S.

各国とも「ダイレクト」と「オーガニック検索」による流入が多いです。

ここから注目すべきはダイレクトとオーガニック検索以外の5項目。

フィリピンにおけるショッピングカテゴリートラフィックソース:フィリピンvs日本vs U.S.

各項目ごとに特徴が見受けられますが、特にフィリピンにおいて流入割合が高いのは「ソーシャル」。

全体割合では約7%ですが、母体となるECの全体トラフィック量は多いため、ソーシャルから流入しているユーザー数は侮れません。

何のソーシャルからの流入が多いのか?

フィリピンで多いソーシャルからの流入。

では、どのソーシャルからの流入が多いのか。

デスクトップからのみのデータとなりますが、SimilarWebとBIツールtableauを用いて、流入の多いソーシャルを可視化します。

フィリピンのショッピングカテゴリー:ソーシャル

もっとも多かったのは、全ソーシャルのうち67%の流入を占めるFacebookからの流入でした。

実はフィリピン、世界でも類をみないFacebookのエンゲージメントがとても高い国です。

フィリピンのFacebook利用率

引用元:フェイスブック 不屈の未来戦略

2015年の少し古いデータですが、アメリカ、日本、フィリピンを比較した際のフェイスブック利用率を示した表です。

中でもフィリピンの利用率は74%とアメリカよりも高く、多くのアクティブユーザーがいると考えられます。

つまり、フィリピンにおいてECのマーケティングを行う際、Facebookのプラットフォームは送客にかかせない一つとなりえます。

仮にアジアマーケット、ないしは国外マーケットのECでビジネスを展開する際は日本国内と同様の手段でマーケティングを展開すると、ターゲットユーザーを逃す可能性がありえます。

そのため、事前の国外市場調査は非常に重要です。

ラザダの認知度は着々と広がってきている

ここからは、フィリピンのECマーケットシェアNo.1のラザダを少し深ぼってみます。

市場全体が減少トレンド

LAZADAのトラフィックトレンド

ラザダ全体のアクセスは減少トレンドにあります。

とはいえ、冒頭で記載したように、ラザダだけが減少傾向にあるわけではなく、市場全体的に減少トレンドに向かっています。

ショッピングカテゴリーのシェア

この市場全体が減少トレンドであることを認識する事が重要です。

例えばこんなミスリードを生むからです。

自社だけのデータを追い、仮にトラフィックが減少していると仮定します。

すると減少原因が「広告部門の質が低いのではないか?」「プロモーション設計がおかしいのではないか?」と、自社内部に原因究明のベクトルが向きます。

もちろん、自社の集客改善でアクセスの向上も図れますが、市場全体が下がっていることを認知していれば、原因究明の際にミスリードを起こす確率が下がります。

従って、市場の流れを常時観察しなければ、間違った戦略立案を起こしかねないのです。

アプリDAUは顕著に増進

フィリピン自体の人口は増加してきています。

フィリピンと日本の人口推移

つまり、これまでのデータは以下のようにまとめられます。

  • 国内全体で見た時のターゲットとなるユーザー数は増えている
  • ただ、フィリピンのEC市場においてどこもWebサイトへのアクセストレンドは減少傾向にある

このように情報を整理できていれば、ターゲットユーザーが減ってきているのではなく、ECを利用する際のプラットフォームが変わってきている、といった推測ができます。

今回のケースだと、真っ先に推測できるのはスマホのアプリ上にシフトしているのではないか、という仮説。

LAZADAのDAU

実際にラザダアプリのDAUを見てみると、ここ2年で急上昇しています。

これまでの情報と仮説、そしてこのDAUの結果から、フィリピンのEC市場では着々とユーザーはアプリにシフトしていると言えます。

従って、今後フィリピンのECマーケットで戦うならば、アプリのプラットフォームで戦う必要がある、といった示唆まで結びつけられます。

指名検索は二年間で10%増加

アプリにシフトしていることはわかりました。

しかし、国民全員がラザダを知っている、ないしはアプリをダウンロードしてみようとはなりません。

そのため、マーケターはこの仮説検証の結果から次に分析しなければいけない点は、集客構造がどうなっているかです。

ここからラザダの集客チャネル構造を見ていきます。

LAZADAの集客チャネル

これを見ると、以前はディスプレイ広告から多くのユーザーを獲得していました。しかし、今ではその出稿量を減らしています。

このディスプレイ広告に関する本来の意図をSimilarWebで解読することは難しいですが、あるデータをみると、その効果が見受けられるデータがありました。

LAZADAの指名検索割合

2016年間を通した検索キーワードにおいて、指名検索による流入は63%でした。

これが2018年1~7月までのデータでみると、指名検索による流入は73%あります。

つまり、過去に行った広告が功を奏し、認知度があがったために、指名検索の量が増えた可能性があります。

OOH等の他の要因が絡んでいるのはもちろんですが、認知度の向上を図れていることは明確です。

まとめ

ここまでのラザダの分析をまとめると下記になります。

  • ラザダのアクセストレンドは下がってきている
  • 同時に市場全体でアクセストレンドは下がってきている
  • アプリのDAUは急増
  • 指名検索の増加から、認知度の向上が見受けられる

今回はラザダにフォーカスしましたが、ショッピーや、amazonがフィリピンだとどのようなキーワードで検索されているかなど、深堀次第で様々な示唆が出そうです。

【市場調査 in USA】2017年小売EC業界完全レポート

こちらの記事ではアメリカのEC市場を徹底分析しています。

国ごとで何が違うのか、ぜひ見比べてみてください。

まとめ

今回の要点をまとめます。

  • フィリピンのEC市場価値は2022年には約3,300億円となる
  • シェアNo.1はラザダ
  • シンガポールに本社を構えるショッピーがシェアを拡大しつつある
  • フィリピンのマーケティングにおいてFacebookの利用は不可欠
  • ラザダのアプリDAUは急増している
  • ラザダの認知率は着々と増加している

人口増加、IT化により益々勢いを増すフィリピン市場。

グローバルでシェアが大きい企業が、必ずしもフィリピンでシェアを獲得しているわけではないことが今回の調査でわかりました。

他の東南アジア各国ではどうなのか?

今後も、世界のマーケットインテリジェンスを解析し、みなさまにそのインサイトをご紹介していきます。

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