【化粧業界 世界編】2つのデータから見る世界市場解析レポート

3,140億ドル、円に換算すると約34兆5,400億円。

これは世界における、化粧品業界の市場規模です。

フランスのL’Oréal 、オランダとイギリスに本拠を置くUnilever、日本では資生堂や花王といったプレイヤーが揃うこの市場。

本稿では、世界の市場調査レポートによる売上高や市場占拠率のオフラインデータ、そしてマーケットインテリジェンスツールSimilarWebを使ったオンラインデータの2つを用いて、化粧品業界の現状を解読していきます。

オフラインデータから見た化粧品業界の今

世界の売上を牛耳っている欧州製品

まず始めに、化粧品業界の概況を整理します。

そもそも化粧品の半分以上は欧州と米国で生産されているのはご存知でしょうか。

化粧品生産国

欧州と米国合わせて約55%を占めています。

ところが、実際の化粧品輸出に関して見てみると、その半分は欧州製。

世界の化粧品輸出概況

つまり、生産量と輸出量は相関せず、欧州が化粧品業界における売上を牛耳っているのが現状です。

34兆円市場のトッププレイヤー

ここから売上高のデータをベースに見ていきます。

世界の化粧品業界は緩やかながらも継続的に増加トレンドです。

世界の化粧品売上高

この市場において、現在売上シェアを大きく占めているのは、フランスのL’Oréal。

グローバルプレイヤー上位5社

2位はオランダとイギリスに本拠を置くUnileverと、上位2社は欧州企業が占めています。

続いてアメリカのProcter & Gamble(P&G)とEstée Lauder、そして日本の資生堂と続きます。

年々増加する、チャネル争奪を図ったM&A

化粧品業界に限らず、今、小売業界はWebの発達により販売チャネルの多様化が進んでいます。

これにより、実店舗だけでなく電子商取引(以下EC: Electronic Commerce)による購買、またオンラインデータ等を用いた分析が急務です。

小売業界の売上高を押し上げる方法

引用元:小売業界から高利益率を維持する施策を学ぶ「成長」から「成熟」への戦略分岐点

ただし、ECだけに焦点を当てるだけでは全体の売上は上がりません。

あくまでECは売上高向上に寄与する一部。

他のデータや事業等を連携させ、データドリブンマーケティングを確立する事が何よりも重要です。

【アデコ:岩嶋 宏幸】データ・ドリブン・マーケティングとSimilarWebで企業の競争/共創力を高める。

昨今の化粧品業界では次々とM&Aが行われています。

目的は多岐に渡りますが、その多くは消費者、流通チャネル、そして新しい市場へのアクセスが目的です。

美容業界における主なM&A案件(2016年)

成熟市場の中で生き残る、ないし市場の優位性を確保するためどの企業でも新たなチャネルに手を伸ばしています。

需要のある、新しい市場を求めて。

トッププレイヤー企業の本拠地は欧州、アメリカ、そして日本でしたが、実際に需要の高い地域はこれらの地域ではありません。

需要が高いのは、アジア太平洋地域。

世界の化粧品需要

化粧品需要の割合は北米、そして欧州よりも高い約37%。

このアジア太平洋市場の中にはオーストラリアや日本、急成長を遂げる中国、またインドネシアやベトナム、マレーシアなどの潜在性の高い市場も含まれます。

ここまでのまとめ

ここまでの、世界全体を見渡した化粧品業界の概況をまとめます。

  • 生産量は欧州とアメリカ、それぞれ同じ割合だが実際の輸出量は欧州が多くを占める
  • 世界全体で売上が増加トレンドである中で、欧州企業が売上上位を占める
  • 市場拡充を図ったM&Aが増加し、新たな市場や販促手法を探っている
  • 実際に化粧品需要が高いのは欧州や米国ではなく、アジア太平洋地域

これらの概況を元に、次はSimilarWebを使い、Web上における市場概況を見ていきます。

オンラインデータから見た化粧品業界の今

ここからはSimilarWebを使い、世界の*化粧品業界関連サイトのトラフィックボリュームを見ていきます。

本章で取り扱う化粧品業界は、SimilarWeb独自のカテゴリー「美容とフィットネス/コスメ」によるサイト群の結果に基づきます。

今回見る国々は、SimilarWebでデスクトップ、モバイルの両デバイスからデータ抽出可能な以下の全41ヶ国。

調査対象41ヶ国

ご留意頂きたいのは、アジア太平洋地域でも市場の大きい中国と韓国のデータはSimilarWebでは取得できないため、本章における解析対象から除いています。

この2国を除いた合計41カ国で、どの国でトラフィックが多いのか見ていきます。

市場によってコミュニケーションの深度は異なる

BIツールtableauを使い、SimilarWebで取得したデータを世界地図上に当て込みます。

この世界地図において、赤色が濃いほどトラフィックが多いことを示しています。

全41ヶ国 化粧品業界関連サイトトラフィックボリューム

圧倒的にトラフィック量が多いのはアメリカ。

続いて多いのは日本、そして僅差でブラジルと続きます。

全41ヶ国 化粧品業界関連サイトトラフィックボリューム

これだけ見ると、アメリカが目立ってトラフィック量が多く見えます。

ただ、これは人口の差によって自然とこの差がつくのは想像に容易いです。

そこで、アメリカ、日本、ブラジル3ヶ国のインターネット人口と、SimilarWebのトラフィック数との相関性を見ていきます。

日本、アメリカ、ブラジル 各国のインターネット普及人口と訪問者数の相関

すると、人口に対する化粧品業界サイト群へのトラフィック割合が最も高いのは日本、続いてブラジル。

アメリカに関しては日本よりもその割合は約24%ほど低いです。

ここから、下記の気づきがあります。

  • 日本は世界と比べてWeb上で化粧に関する情報収集、ないしはコミュニケーションをとる傾向が強い
  • アメリカはWeb上において化粧品に関する情報とのコミュニケーションがあまりない
  • ブラジルは日本と比べるとその割合は低いが、アメリカよりもサイト訪問率が12%高いため、Web上におけるコミュニケーションは十二分にある

サイト訪問率のデータから見るに、各国でWebを介したコミュニケーションの取り方が異なります。

そのため、国ごとに適したユーザーへのアプローチを図ったデジタルマーケティング戦略を構築することが、市場拡大において重要です。

これを知らずしてデジタルマーケティングへの海外投資を行った場合、ROIが低くなる可能性は極めて高いのではないでしょうか。

需要増加が見込まれるアジア太平洋地域

アメリカ、日本、そしてブラジルのトラフィック数が多いことがわかりました。

では、それ以外の国にはどのような特徴があるのか 。

さきほどの世界全体のデータから、トラフィックの多い上位3ヶ国を抜いてデータを見てみます。

全41ヶ国 化粧品業界関連サイトトラフィックボリューム(日本/アメリカ/ブラジル除外)

すると、赤色の分布が変わります。

濃い赤色が目立つのはロシア。

他国と比較して、トラフィック量が多いことがわかります。

ちらほらと濃淡が見受けられるのは欧州地域です。

ここをもう少し深く見てみます。

全41ヶ国 化粧品業界関連サイトトラフィックボリューム(日本/アメリカ/ブラジル除外)欧州地域

欧州の中でも濃く染まるのはロシア、イギリス、ドイツ。

他国は同程度のトラフィック量であり、突出して訪問数の多い国は見受けられませんでした。

続いて、オフラインデータの市場調査では需要の多かったアジア太平洋地域を深掘りしていきます。

トラフィック量はまだ成長半ば

引き続き、日本、アメリカ、ブラジルのトラフィックが多い上位3ヶ国のみ抜いたデータで見ていきます。

全41ヶ国 化粧品業界関連サイトトラフィックボリューム(日本/アメリカ/ブラジル除外)アジア太平洋地域

赤色が淡いことから、世界全体と比較したらそこまでトラフィック量がありません。

では、データをアジア太平洋地域各国のみに絞って濃淡を出してみます。

アジア太平洋地域トラフィックボリューム

※日本を除く

タイ、シンガポール、フィリピン、インドネシア、マレーシア、オーストラリア、インド、台湾、香港の9ヶ国に絞っています。

トラフィックが多いことを示す濃い赤はオーストラリアに集中し、他の国は同程度のボリュームとなっています。

世界地図上では小さくて見ずらいですがオーストラリアに続いてトラフィックが多いインド、そしてインドネシアと続きます。

アジア太平洋地域トラフィックボリューム

こちらはアジア太平洋地域各国のトラフィックボリュームを円形で示したものです。

これを見るとオーストラリア、インド、インドネシア以外の各国は同程度のトラフィック量があることが明瞭です。

インドではあるサイトが市場を完全占拠

これから需要増加が見込まれるアジア太平洋地域。

解析すべき点が多々あるため、本稿では深堀せず別記事にて深く解析を行う予定です。

一部、データを先立って見てみましょう。

アジア太平洋地域でもトラフィックの多いインドにおいて、化粧関連サイトの市場占有率を見てみると、あるサイトが市場を席巻していました。

化粧品業界関連サイトトラフィック占有率@インド

他のアジア太平洋地域各国における上記のような市場占有率を見てみると、インドとは全く異なる特徴が見受けられます。

解析を進め、各国の化粧品業界解析レポートを公開予定です。

まとめ

有価証券報告書等から取得したデータ、そしてSimilarWebのデータを用いて化粧品業界を解読してきました。

ここまでの気づきをまとめます。

  • 生産量は欧州とアメリカ、それぞれ同じ割合だが実際の輸出量は欧州が多くを占める
  • 世界全体で売上が増加トレンドである中で、欧州企業が売上上位を占める
  • 市場拡充のためM&Aが頻発し、新たな市場や販促を探っている
  • 実際に化粧品需要が高いのは欧州や米国ではなく、アジア太平洋地域
  • アメリカのトラフィックは多いが、Web上におけるコミュニケーションはあまり図れていない可能性がある
  • 需要増加が見込まれるアジア太平洋地域だが、Web上におけるトラフィック量は世界全体と比較して少ない(※中国と韓国は除いたデータ)

オフラインのデータ。

そして、オンラインのデータ。

これら二つのデータを掛け合わせ、化粧市場を解読することで見えた気づきは、下記3点ではないでしょうか。

  • オフラインとオンラインでは市場動向や傾向の特徴が異なる
  • オフラインだけでなく、オンラインも各国の特徴に適したマーケティング手法を選別する必要がある
  • 国別にオンライン市場を解析し、適したデジタルマーケティングを考慮しなければ、ユーザーへ最適なコミュニケーションを図れない可能性がある

重要なポイントは、オフラインとオンラインにおける市場構造の相違です。

デジタルがこれからさらに加速する現代において、有価証券報告書等の公開情報を用いた市場調査だけでなく、オンラインにおける市場調査も行わなければ、市場席巻は困難を極めます。

オフラインとオンライン。

34兆円の巨大市場を制すには、化粧業界の中からさらに細分化した、各プラットフォーム毎に適した市場調査がこれからの時代において重要ではないでしょうか。

(参考データ:SPEEDASimilarWeb

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